カスタマイズを言い訳にしない情報提供

2002年5月14日

保険会社のWebサイト、わかりにくいと思われたことはありませんか?

保険初心者にとっては、自社商品名だけ並べられても、具体的にどれを選べば良いのかさっぱりわかりません。CMや各種パンフでアピールした商品名を頼りに探すユーザーがいることは否定しませんが、「死亡時給付」、「掛け捨て」、「入院給付」など、ユーザーが保険に対して想起するキーワードから適当な保険商品をピックアップする機能がない場合がほとんどです。それにも増して不安になるのは、どれくらいの費用がかかるのかが全く見えてこない点です。

一人一人の条件に合わせたカスタマイズが基本のため、画一的な情報提供には意味がないという判断をしているのかもしれませんが、押しの強いセールス担当をいきなり相手にするよりも、できればWeb上で事前に各社の保険商品を調べておきたいというユーザーは多いのではないでしょうか。一般消費者を対象とするビジネスにおいて、カスタマイズにかこつけて費用情報をオープンにしないという体質には問題があると言わざるを得ないでしょう。この点では、住宅メーカーも同じような傾向が強いように見受けられます。

ユーザーに合わせたカスタマイズを前提とした製品やサービスでは、下手に金額をオープンにするとかえって誤解を招くことにつながるという側面があることは十分理解できます。しかし、大まかな目安となるようなラインすら見えないということになると、ユーザーとしては事前選定の手がかりすら得られず、不安になるばかりです。それにユーザーはすべての企業の営業担当と打ち合わせをするほど、時間に余裕があるわけではないのです。Webサイトは商品の概要説明と長所訴求に特化して、実際の受注獲得は営業担当に依存するという仕組みが一朝一夕に変わることはないでしょうが、この方法は最近のビジネスの流れから取り残されていることを自覚すべきです。Webサイトの持つ信用創造という機能を過小評価してはなりません。

これらの企業のWebサイトには、簡易シミュレーションなど、ユーザーにおおまかな費用情報を伝達する仕組みを用意するべきでしょう。自社商品の長所だけでなく、費用のアウトラインや制約条件をわかりやすく提示することで、ユーザーの信頼を勝ち得る方向に情報提供のスタンスが移って欲しいものです。当研究所も費用情報はオープンにしていないので他人事ではないという話もありますが、BtoB分野ですのでご容赦を(もちろんお問い合わせ頂ければ、想定コストと要求仕様の間で適切と思われる情報をまず提示させて頂いております)。

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