前回に引き続き、当研究所ならではのおすすめ本を紹介したいと思います。海保博之、原田悦子、黒須正明著「認知的インターフェース」です。インターフェースについて考察するために必要な要素が、40のキーワードごとにまとめられています。
インターフェース問題の全体を把握したいかただけでなく、手軽に読める認知科学の入門書を探しているかたにもおすすめです。1991年発行なので、すこし古さを感じさせる記述が散見されることだけが残念です。
マニュアルやインターフェースの設計は、既存のノウハウをもとにした小手先の技術論で済まされてしまうことが多いと思われます。確かに現場のノウハウはそれなりに重要なものですが、学問的な研究も参考にして自分達のノウハウを常に相対化するくらいのつもりで日々の業務に取り組まないと、凝り固まった発想しか出てこなくなってしまうでしょう(自戒も込めて)。(ISBN4-7885-0386-7、1600円、新曜社)