かなり以前に読了したものの紹介を躊躇した、バーンド・H・シュミット 著『経験価値マーケティング』です。「経験」という概念を鍵とした書籍では、以前「「ユーザー体験」という価値 」で取り上げた『経験経済 エクスペリエンス・エコノミー』と現時点で双璧をなしています。

基本的には、「F&B(Feature&Benefit)、つまり特性と便益を基づいた製品作り、マーケティングの限界が現在見えてきている。これを乗り越えるのは、消費者が製品なりサービスなりとの関係を通して何を経験するのかという、経験価値に注目する必要があるのではないか」というのが著者の主張になります。要するに、カタログスペックでライバルを凌駕することが販売にそのまま結びついた時代はもう終わり、ということです。

本書では、経験価値の種類としてSENSE(感覚)やFEEL(情緒)、THINK(創造・認知)、ACT(肉体、ライフスタイル)そしてRELATE(準拠集団や分化との関連)という5つのカテゴリーを提唱して、具体的な事例分析や評価を行っています(最初に「紹介すべきかどうか悩んだ」というのは、事例が牽強附会なんじゃないの?とか、その事例はイタすぎません?というのが結構あったからなのですが . . . )。

とりあえず、経験価値という概念について興味をお持ちのかたにはお勧めといえるでしょう。(ISBN4-478-50172-6、ダイヤモンド社、2200円+消費税、amazon.co.jp)。

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