TCシンポジウムも無事終了しました。会場にお越し頂いた皆様、どうもありがとうございました。今年はパネリストによる個別発表形式ではないため、例年のような発表資料/内容公開はありませんが、近いうちに発表テーマのまとめを行いたいと考えています。
さてTCシンポジウムといえば、会場に展示されているマニュアルコンテストの受賞作品。別に受賞作品に対して文句を言うわけではないのですが、何故にこれとこれが同じ賞?というものがあったり、こんなもの入賞させて良いのかよというものがあったり。例年通りといえばそれまでなのですが、やはりコンテストという以上、評価する側にもそれなりの見識が求められると思うのです。
確かに適切に評価するために必要な方策はそれなりに取られていると思うのですが、評価者が根本的に見識を欠く場合には、現状では如何ともしがたいようです。そうかといって一般審査を参考程度に留めてエキスパートによる集中審査形式を採用すると、密室談義の誹りを免れるのが難しくなるということで、なかなか難しいものがあります。
現状で特に納得がいかない評価がされていると感じるのは、構成とデザインです。行間ほとんどなしでコラム幅いっぱいにテキストを組んでいるものが入賞していたり、デザイン自体の質はともかく製品のブランドイメージと乖離してないか?というものもあります。構成についても、ユーザー層や機器ごとの使われ方なども含めて、まともな評価がなされているのでしょうか。こうしてみると、これらを適切に評価できる人がマニュアル業界にほとんどいないと言わざるを得ません。それならそれで、見る目を持ったエキスパートによる審査監督を、もっと厳しく行う必要があります。パッと見で初心者受けする取っつきやすさも重要ですが、そうしたギミックだけに惑わされない大人のコンテストでなければ、業界団体で主催する意味はないのではないでしょうか。
良いマニュアルのスタンダードを確立/普及する目的でマニュアルコンテストを行うのであれば、入賞に値しないものは極力排除しなければなりません。例え入賞作がゼロになったり、特定メーカーのものだけが入賞になったとしてもです。審査を厳格化することで、評価者の見る目の向上も期待できますし、それは日々の業務にフィードバックされることでしょう。Webや電子マニュアルとの情報分担も含めてマニュアルが多様化する中で、マニュアルコンテストの意味や目的、方法を見直す時期に来ているのではないでしょうか。