ソニースタイルの利用データが公開されたようで、先週末に関連記事が各ニュースサイトに掲載されました。
それらの記事を読んで気になるのは、やはり既存実店舗が単なるショールームとして利用されてしまう傾向があるということです。これは実店舗にとって好ましからざる話で、やはり大規模店に集約するしかないのか?という話になってしまいます。まあ「品揃えにも特色のない、中途半端な店舗なら最初からいらないよ」というのが消費者の実感でしょうし、現にそのような店舗の多い中小書店などは、軒並み苦戦しているように見えます。
確かに品揃えや価格競争力という面だけを見ると、大規模店への集約・移行は消費者に与えるメリットが大きいように見えます。しかし、それは本当にメリットだけなのでしょうか。ここで問題にしたいのは、大規模店への集約とメーカー直販によって、専門性の高い小規模店舗の存続が難しくなっていることです。
このような店舗はBTO(Build to Order)など、顧客のニーズに合った構成で製品を販売するというスタイルが期待されますが、実際に実店舗でメーカー製パソコンをBTOすることは困難です。例えばAppleのノートマシン(PowerBook、iBook)で英語キーボードを選ぶには、AppleStoreを利用するしかありません。これでは英語キーボードを利用したいユーザーが当該機種を購入したい場合、既存実店舗で購入するという選択肢がはじめから奪われていることになります。これは店舗がビジネスチャンスを喪失しているだけでなく、消費者側にとっても決して好ましい事態ではありません。
大量少品種(マスプロダクツ)の限界、そして少量多品種への移行ということはもう何年も前から言われています。それにも関わらず、消費者が自分の身の丈に合った商品を手に入れる方法は、いまだにメーカー直販サイトを利用するしかないのです。経験豊かなプロフェッショナルが顧客に十分な説明をした上でパーツ選択を推薦し、店頭からBTO製品を発注というシステムがあっても良いのではないでしょうか(確かLAOXのMac館からAppleStoreを利用してBTO製品を発注できたような〜と思ったら、Apple組立工房はいまも健在のようですね)。
「実店舗には既製品だけを販売してもらう」というのではなく、このような形でBTOシステムを実店舗に開放すべきではないでしょうか。これは実店舗(とそれに支えられる地域社会)だけでなく、消費者にとっても魅力的な話だと思うのです。
ソニースタイルでバイオを購入した顧客の90%以上がカスタマイズを行なっている。程度の差こそあれ、やはりそのままでいいという人は少ないようだ。逆にいえばカスタマイズできるからこそ、ソニースタイルで購入しているということだろう。
もし店頭経由でBTO製品が購入できるのであれば、このデータがどのように変わるのか非常に興味深いですね(笑) 実店舗とメーカー直販サイトの差別化は「既製品の販売 vs カスタマイズ製品の販売」という軸ではなく、もっと違う方向を模索すべきでしょう。
そのような意味で、
これは同時に、海外商品の国内での評価、あるいは新色の評価につながる。市場性の調査も同時に行えるわけだ。ソニースタイルは、ソニー製品のブランド力を活かしつつ、ブランドを支える手段の一つにもなっているようだ。
のように、実店舗とメーカー直販サイト(最終的にはメーカー本体)の双方に利益のある、相互補完を目指す方向に進んで欲しいと強く思います。