以前「誰もが固まる特急券券売機」として取り上げた小田急電鉄の特急券券売機ですが、同じような不満を持っていた人は結構いらっしゃったようです。問題の特急券に代わる新しい券売機も昨年あたりから導入され始めましたが、使い勝手に関しては改善された面もあるものの、利用客を「うっ」と固まらせてしまう面も残しているところは流石です(設計メーカーどこだろう...)。
この新券売機の話はまたそのうちネタにするということで、今回取り上げるのは特急券に関連する別のシステムの話です。
二、三年ほど前から、ロマンスカーの特急券は携帯電話から予約購入がきるようになりました(ITmedia過去記事)。駅に行かずに特急券を購入できること、用事や仕事がいきなり延びてしまって購入した特急券が無駄にならないようにとりあえず予約だけできることなど、利用者にとってメリットの大きなものになっています(利用したことがないので、システムの使い勝手についてはノーコメント)。こうした特徴もあり、この予約システムの利用者は確実に増えている実感があります。何よりも、乗車してきて携帯の画面を見ながら座席を探す人が多くなっていることが、その証といえるでしょう。
これでは良いことずくめのようですが、そうは問屋が卸しません(笑)
実はこのシステムの利用者が増えるに伴って、駅で特急券を買えないことが増えています。特にラッシュ時間に新宿を発車する特急に顕著なのですが、満席になるのが異常に早いのです。例えば、打ち合わせで移動している間など、午後の早い時間に新宿駅に立ち寄って帰りの特急券を確保しようとしても、すでに満席。それにも関わらず、発車時間の1時間前あたりからそこそこの空席が発生することも稀ではありません。
これは予約システムで特急券の「予約のみ」が可能になったため、早い時間にとりあえず予約という形で特急券を押さえるだけ押さえておき、乗れそうだったら購入、駄目そうであればキャンセルという行動が増えていることが原因と思われます。しかし「駅で特急券を購入しようとする利用客=実際に購入する」であるにも関わらず、「予約のみの利用客=実際に購入するかどうかは不定」が優先されてしまうというのは、どうも腑に落ちません。
確かに携帯電話を利用した予約システムそれ自体に問題はありません。ですが、特急券を利用客に販売するというビジネス全体から見ると、どうもビジネスの全体設計を間違っているように思えます。利用客の姿の一面しか捉えずに、予約システムの設計を行ってしまったのではないでしょうか。新しいシステムを導入することに目が行くあまりに、当該システム利用者以外を含めた利用者全体の姿や行動を把握するという視点が欠落しているように感じます(小田急ってそういう話が多いような感じが...)。
この問題の解決方法としては、「予約のみ」利用客の意思決定(予約→購入)の締め切りタイミングを速めることも考えられますが、 これは既存のメリットを大きく損なうため、適切ではないでしょう。ですので、全座席数の30%程度はあらかじめ駅の券売機購入用として割り振っておき、予約システムからはアクセスできないようにするというのが妥当な線かと思います。で、発車1時間前程度になっても券売機割り当て分に残席がある場合は、予約システム側にも開放すれば最終的に残席が出ることもないと思いますが、いかがでしょう? > 小田急電鉄さま。
(それにしても新宿発18:30のロマンスカー、競争激しすぎ)