マニュアル制作で必要とされるスキル・視点をおおまかに分類してみると、次の3通りになりそうな気がします。
確かにマニュアル制作のスキル流用が直接的に可能であることを対外的に示すには、これが一番手っ取り早いように見えます。ただし、表現設計は適用領域による幅(業界基準や表現の流行など)が大きく、一般的なわかりやすい表現が通用するとは限りません(そもそも求められていなかったり...)。
さて、マニュアル制作のスキルを他領域で展開しようという話になると、たいていは表現設計の話になりがちです。「マニュアル制作で鍛えられた、わかりやすい表現技法を提供します」とかいって。
また、汎用ビジネス表現技法として見た場合でも、(広告に要求されるような)飛び道具的な表現が要求されても、対応できないのが実状でしょう。プレゼンテーション資料のように、実際のわかりやすさよりも見かけのわかりやすさやインパクトが求められる場面(最近の図表化・視覚化の流行とか...)も多いのが現実ですから、マニュアル制作のスキルが活かせるかどうかは、また違うような気がします。
というようなことを考えると、本当の意味でマニュアル制作やテクニカルコミュニケーションで得られた知見・経験を活用できるのは、ワークフロー設計や情報設計の領域だと思うのです。文書が絡む業務システムの分析とか、様々なメディアやツールで提供する情報の枠組みの再検討、業務文書のフォーマット規定などといった課題は、マニュアル制作で養った感覚を活かすにふさわしく、専門家としてのスキルを大いに発揮できるものでしょう。
一番の問題は、お客様が「なんで取説屋さんがここに?」と疑問に思ってしまうことでしょうか(苦笑)もちろん上記のようにご説明すると、納得して頂けるのですけど。その意味でも、マニュアル制作やテクニカルコミュニケーションで得られる適切なメリットについて、世間に対して呼びかけ続けることが大切になってくるのではないかと思います。