「某社のデジタルカメラに付属する取扱説明書が、基本情報しか記載されていない薄い紙冊子と、詳細な情報を記載したPDFファイルに分割された」という信じがたい話を耳にしたので、確かめてみました。...確かにその通りで、フォローのしようがありません(涙)
デジタルカメラがPCの周辺機器だった時代(いったい何年前の話やら...)ならともかく、今この時代に「デジタルカメラ購入者はPC所持者である」という判断をするのは、まったく市場が見えていないと言わざるを得ないでしょう。こんな方針にOKを出したマニュアル制作部門の判断は論外として、商品企画部門やエンジニアリング部門もこんな企画をしっかり却下できないようでは困ります。どうしても紙冊子を薄くしたいのであれば、ユーザーの利益を損なわない範囲で情報を徹底的に絞り込む、エンジニアリング部門と協働で操作情報をUIへ組み込むなどの手法を採るべきです。
百歩譲って紙冊子とPDFファイルに分割することを認めるにしても、現状では情報分割基準も完全にズレていると言わざるを得ません。
PictBridge対応プリンターなら、本機で撮影した画像をパソコンなしでプリントできます。
サイバーショットハンドブック(DSC-N2) 99ページ
という情報がPCなしでは見られない(PDF形式の電子マニュアルに掲載されている)のは、悪い冗談としか思えません。それに情報構成の手法にも問題があり、これでは仕様書のリライトに過ぎないような気も...。果たしてこれでお客様の方を向いてマニュアルを制作していると言えるのでしょうか?
そうそう、デジタルカメラのマニュアル話ついででアレですが、デジタルカメラのマニュアルについて各社にお願いがあります。梱包箱のサイズ制限もあって冊子の判型が小さくなる一方、コスト制限も厳しくなる一方なのは理解できるのですが、露出とかその辺の機能を使った作例を、具体的に大きめの(できればカラーの)写真で載せて欲しいんですよね。ごちゃごちゃした形で説明されても、具体的にどういうときにどういう写真が撮れるのか、自分に引きつけた形でイマイチ理解できないのが実状です。
(ここではデジタルカメラや写真そのものが対象になりますが)機能理解を通じて商品の面白さを体験してもらい、ユーザーと市場を育てていくというのも、マニュアルの役割の一つだと思うのです。コモディティ化しているから〜などと勝手に諦めずに、商品の魅力をうまく伝えるマニュアル作りを期待したいところです。