マニュアルの評価作業をしていて気付くのは、文章表現単体に問題を抱えるものは少なくなってきたものの、企画構成や視覚表現に問題を抱えているものが非常に多いということです。我が国のTC業界が狭義のライティングに重きを置きがちな以上、ある意味で当然の状況と言えるのかもしれません。

視覚表現については構造的な問題があるため、一朝一夕に解消することは確かに難しい面もありますが、問題は企画構成です。ユーザーの閲覧コンテクストを無視した情報構造や見出しタイトルの表現、記載内容の取捨選択といった問題が多く、ユーザーの閲覧コンテクストと情報の構成、記載内容に齟齬がないかどうかなど、基礎の基礎から再確認する必要がある有様です(参考:マニュアル評価フレームワーク)。論理一貫性だけに注力したわかりにくい構成ができあがるのは、制作者が閲覧コンテクストや製品の機能がユーザーに提供する価値を理解しようとせず、機能の表面的な実装形態や構造ばかりに着目していることに理由があります。わかりにくい見出しタイトルが一向に減らない原因も、ここにあると言えるでしょう。

機能が高度化・複雑化するにつれて、この悪循環は残念ながら強化される一方です。本来であれば、この種の問題は定期的なフォーマット見直しの際に手当てされるはずなのですが、ここ数年のコストダウン圧力に加えて人材への投資を怠ってきたことで、収拾が付かなくなっているように見えます。また、多国語展開における広義のコスト対策に目が行きすぎて、(多くの場合で)ベースとなっている日本語版の品質改善がおざなりになっているという側面も見逃せません。

でもそんな悪循環、そろそろ断ち切りませんか。景気回復の気運が高まりつつある現在こそ、必要なコストを掛けて品質を建て直す良い機会です。その際はぜひ、有限会社文書情報設計までお声がけください(案件大募集中!)というポジショントークは置いておくにしても、大規模会社への発注集約が進み、品質改善で力を発揮できる小規模制作会社が切り捨てられている現状は好ましくありません。品質評価を依頼したり改善プロジェクトに参画してもらうなどして、社内ノウハウの蓄積と品質改善を進め、マニュアルから製品全体のUX改善の一翼を担うべきでしょう。その際はぜひ(ry

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