前から書こうと思ってストックしていたネタだったのですが、多忙にかまけて失念していたことをDITA騒ぎの最中に思い出したという(汗)
えーと、CMSの導入が当然のような流れに世の中ではなっているようなのですが、遅まきながら気になることを書き連ねておきたいと思います。なんか実体験の反省が入っているとかいないとか...。ああ、胸の奥が痛い。
- 構築するのは部品DB?それとも最終表現系コンテンツDB?
任意に組み合わせて出力することを前提とした(DITA的な意味での)正規化された部品情報のデータベースなのか、媒体にあわせて表現を最適化した最終表現系のコンテンツデータのデータベースなのか、CMSの導入目的を検討段階で明確にしておく必要があります。この点が曖昧なままだと、あとでいろいろと揉める原因になります。揉めるだけなら良いのですが、そもそもの導入目的と合致しない仕様のCMSが完成してしまっては、目も当てられません。
- 事前分析は時間をかけて念入りに
特に部品DBとして構築する場合ですが、部品粒度を決定するための既存コンテンツに対する事前分析が質・量ともに不足すると、後工程での大幅な手戻りにつながります。表現に揺らぎがある場合に、どこまでを共通部品として扱うのかを決定するような場合にも、事前分析の質・量が結果的にモノを言う場面が多いです。同様に、ある程度の量の実データを投入して構造モデルの妥当性を検証しながら精度を上げていかないと、やはり後工程での手戻りにつながります。目先の手間を惜しむと後で痛い目にあう、という典型例でしょうか。
- 現物(既存コンテンツ)の性格を把握する
CMSで管理する以上、情報の標準化・正規化が伴うのは必然ではありますが、最終的には既存データを修正する必要が出てくる場合も考えられます。ここで問題となるのは、様々な理由で現物の構造や表現を(コンテンツ制作部門の一存では)変更できないような場合で、この種の条件が最初から自明であるならば、構造設計の時点で回避策を検討することが必要です。また、複雑な運用ルールが要求されることが多くなることも予想されるため、運用ルールを検討しながらシステムの設計を行う必要が出てきます。
- 導入後の運用ルール構築はしっかりと
CMSの運用ルールとは、CMS操作マニュアルや狭義の入力マニュアルだけではありません。記載内容の品質を維持し、表現のブレを防止するための入力ガイドラインや文例集、ワークフローを踏まえた業務手順書も当然必要です。また、「適切な入力」を支援するUI面での工夫(例:初期状態で入力フィールドに入力ガイドラインを表示)も重要です。で、システム設計および情報構造の事前分析段階から、この辺の運用ルールをエンドユーザーを巻き込んで整備しておくことが軽視されていないでしょうか?箱(システム)だけ作っても、運用できなければ意味がありません。長期間継続してコンテンツの品質を維持できないようでは、CMSの意味がないのです。
まあ、CMS屋さん的には当然のこととして行われている、当たり前の話ばかりですよね。ですよね???というのは、「"DITA"と"CMS"- DESIGN IT! Forum 2009 参加レポート」を読んで、何とも言えない不安感に襲われたからなんですけど(汗)
やはり上記のポイントのうち、最後の項目については忘れられていることが多いようですね。そもそも部品粒度を下げること(=情報の枠組を詳細に作り込むこと)の効果は、部品(情報)単位での抜け・漏れおよび部品内の記載内容のブレの防止、による品質向上にあると思うんですよね。で、その辺をサポートできる存在という意味で、CMS屋さんはドキュメント屋さんと組むといろいろと良いことがありそうなものなんですが、いかがでしょう(笑)