「日々の雑記」記事の一覧
気が付いたら今年一度も更新していないじゃないですか! ということで、仕事が一段落したこともあり、最近考えていることをつらつらと書いてみます。
この数年「なんだかなあ...」と、いろいろと行き詰まりを感じることが正直なところ増えました。
そんなこんなで、正直なところ様々な点で目算が誤っていた、というか楽観的に過ぎた(笑)と認めざるを得ない感じですね。さーて、これからどうしましょうか。
まずは、お仕事絶賛大募集中です!大型小型、特定プロセスのスポット支援含め、ちょっとやらせてみようかな?という機会がありましたら、ぜひ声をお掛けください。制作案件だけでなく、既存の制作体制のままフォーマット改善(改善の前提となる現状品質評価)への外部支援や、まるでユーザーの方を向いていない商品/サービス説明が氾濫するWebコンテンツの改善など、ご協力できる・ご協力したい分野は無限にあるのです!(大事なことなので2度)
GW前後から抱えてきた大物案件が先月末でめでたく完了したこと、専修大学ネットワーク情報学部のマニュアルライティング講義も本年度分をめでたく完了したことで、少々脱力気味のこの頃です。厳しい暑さがようやく和らいできましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
というわけで衆議院選挙が明日公示されるわけですが、この3年間の経験を教訓として整理しておきましょうか。
個人的には「だから言わんこっちゃない」(前回衆院選前のエントリ)としか言いようのない3年間だったわけですが、3年間をどう総括するか、この3年間の原因は一体何だったのか(どうして誤った選択をしてしまったのか)が問われているわけです。
今回の選挙での争点もいろいろ挙げられていますが、先に挙げた教訓が一番色濃く出るのがいわゆる「脱原発」でしょうか。もちろん脱原発が早期に実現できるに越したことはないのでしょうが、
といった面を十分に検討した上で脱原発を主張している勢力は、皆無と言わざるを得ません。
自然エネルギーではベース電力を代替できないどころかバックアップとして火力発電所を常時スタンバイさせておく必要がありますし、火力発電依存への回帰は先の大戦の開戦原因やオイルショック、ロシア・ウクライナガス紛争というこれまでの事象を無視しています(化石燃料依存の発展途上国に負担増を強いている側面も見逃せません)。発送電分離はエネルギー供給問題自体を解決するものではありませんし(送電インフラのコストは誰が負担するのかも曖昧)、代替エネルギー開発に国家リソースを投入することは結構ですが早期の実用化にこぎ着けられるかどうかは別の問題です。下手をすると現状の原発を騙し騙し使い続けて老朽化したところに、再度の大規模自然災害という最悪な状況にもなりかねません。
現時点での旧型原子炉の停止・廃炉はやむを得ないとしても、一定の安全対策を満たしたものは再稼働し、さらに安全性と効率を向上させた最新型へ徐々に置換・集約していく。その一方で代替エネルギー開発を進め、代替の目処が立った時点で脱原発の具体的スケジュールが検討議題として上がる...というのが現実的な脱原発アプローチの一例でしょう(もちろん別のアプローチもありえるでしょう)。
まあこの問題は1つの例であって、結局のところどのような争点であれ、シングルイシューとして連呼する政策を実現するための「パッケージ」を用意できているか、根拠や移行計画は妥当か、議員の資質は十分か、がポイントになるわけです(少なくともこのような発言は論外と言わざるを得ません)。個人的には今回の選挙も前回同様に自民党しか選択肢がない(現実的に選択の余地がない)のが残念ですが、皆様も自分なりに後悔のない選択をされますよう。我が国の余力もかなり厳しくなってきていますので、「一回やらせてみよう」「ダメなら替えればいい」「お灸」といった安易な選択はナシでお願いしますね。
というわけで、投票日ギリギリ(笑)に何とか間に合って良かった...。最後に「麻生政権を支持すべき理由」を考えてみましょう。
といっても話は簡単で、内政、外交の両面でしっかり仕事をしている政権を否認する理由がないことに尽きます。否認する方がいらっしゃるのも当然でしょうけれども、その理由をよく考えてみようということです。よく聞かれる理由としては、「馬鹿だから(漢字が読めない)」「決断力がない(ブレる)」「公務員改革をしない」「国営マンガ喫茶が」といったあたりでしょうか。
まずは馬鹿というのはあり得ないですね。「漢字を読み間違ったことが何回かある」がどうして「漢字を読めない」ことになるのか、まったく不思議です。「漫画ばかり読んでるからだ」など、マスコミ報道に毒されすぎです。問題のポイントを見抜く力、頭の回転の速さはこの国の首相として十分な力を持っています。総理就任早々の国連演説で、同時通訳配信用機器が故障した際に英語でジョークを飛ばして切り抜けた映像、見たことはありませんか?
ブレるという批判も、マスコミ報道だけを見ている人特有の誤解です。発言全文ソースを丁寧に追っていけば、まったくブレていないことがわかります。
そもそも意志決定プロセス(個人意見表明→議論→結論)の各プロセスで意見が変わってくるのは当然で、逆にプロセスを経て意見がまったく変わらない場合にこそ、「頑迷固陋」と批判を受けるべきではありませんか?自由な議論による意見交換、それによる持論の修正までが批判されるようでは、自由主義国家の報道として在り方がおかしいと言わざるを得ません。報道による印象操作については、甘利行政改革担当相のWebページも参考になるでしょう。
ここ数日、党内議員ならびにマスコミ関係者から (2009年) 7月上旬解散の可能性について問い合わせが殺到しました。この件に関して総理は昨夜 (2009年 6月 27日夜)「いつ解散するとも、いつ内閣改造するとも一言たりとも言った覚えはない。周りが勝手に色々言っているだけの話だ」と反論いたしました。
確かに総理がこの件に言及したという事実はまったくありません。今朝 (2009年 6月 28日朝) のテレビ (TBS系列) でも評論家たちが、解散や改造でも総理はぶれているとの『ノー天気発言』をしていました。自分たちが勝手に推測し、それを総理に否定されると「ぶれている」と、自分の見通しの間違いを総理のせいにするものですから、もはや開いた口がふさがりません。
公務員改革についても報道がおかしいですね。まずは甘利行政改革担当相の以下の記事に目を通していただきましょうか。マスコミ報道と随分印象が違いませんか?
そもそもなぜ天下りが発生するかと言えば、上へ行けば行くほどポストの数が減っていくために肩たたきをして自主的に公務員をやめてもらう『勧奨退職制度』に根源があります。人員整理の名のもとに何の瑕疵もない公務員の首を切る事ができない以上、本人の同意を取り付けなければなりません。子供を抱え、家のローンも抱えている公務員を辞めさせるためにその後の仕事を斡旋する事で、本人同意による退職であるという体裁を整えるためです。
民間企業でも、何の瑕疵もない従業員を使用者側の一方的都合で首切りをする事ができない以上、この天下り防止対策を抜本的にとっていくためには、真面目に働いている限り定年まで勤め上げることができる体制を作っていく事が必要です。
今の給与体制のまま全員を定年まで抱えるとすると、人件費は相当膨らんでしまいます。定年まで勤め上げられる体制の整備と全体の人件費を抑制する制度を、合わせ技で時間をかけてやっていかなければ総人件費削減計画との整合性もとれません。天下り禁止法という法律で明日から天下りをなくすという事は、非現実的であるとともに極めて無責任なウケ狙いとしか言わざるを得ません。すでに法改正により不透明と言われる各省斡旋による再就職支援は禁止され、真に求人側のニーズに合った情報提供機能としての中立的機関である官民人材交流センターに一元化される事が総理の英断で決定いたしました。もちろん、いくつもの団体をハシゴする『渡り斡旋』は即刻禁止されておりますので、天下り禁止の抜本対策はすでに軌道に乗っているという事になります。
ちなみに麻生総理はこの問題について、所信表明演説の際にどう表現したでしょうか。先の甘利行政改革担当相の記事と合わせて、どうお考えになりますか?
行政改革を進め、ムダを省き、政府規模を縮小することは当然です。 しかし、ここでも、目的と手段をはき違えてはなりません。政府の効率化は、国民の期待に応える政府とするためです。簡素にして国民に温かい政府を、わたしはつくりたいと存じます。地方自治体にも、それを求めます。 わたしは、その実現のため、現場も含め、公務員諸君に粉骨砕身、働いてもらいます。国家、国民のために働くことを喜びとしてほしい。官僚とは、わたしとわたしの内閣にとって、敵ではありません。しかし、信賞必罰で臨みます。 わたしが先頭に立って、彼らを率います。彼らは、国民に奉仕する政府の経営資源であります。その活用をできぬものは、およそ政府経営の任に耐えぬのであります。
さて「国営マンガ喫茶」というレッテル貼りがまかり通っている 国立メディア芸術総合センターについてですが、実際は漫画(というかアニメ)以外にもメディアアートなど図書以外の表現を総合的に扱う施設であり、この分野における日本の強さを考えれば無駄遣いという批判は当たらないと思います。ということでまずは、以下の映像を見ていただくのが早いでしょうかね。「涼宮ハルヒの憂鬱」というTVアニメのエンディング動画のダンスが世界各国で踊られている、というものです。
(このダンス自体はともかくとして)日本の風習や文化、日本人のものの見方・考え方をこれだけ世界各国に伝えることのできるコンテンツ分野が、他にあるでしょうか?「民間に任せておけば良い」と主張する人もいますが、現状の民間任せでどれだけの資料散逸が起こっているか。これだけのソフトパワーを持つコンテンツ分野に対して、コンテンツ自体だけでなく資料類の保存・展示などに国が積極的に関わっていくことに、一体どんな問題があるというのでしょうか?
ということで代表的な?ポイントのみ触れましたが、いかがでしたでしょうか。「TVばかり見ていると頭が悪くなる」と昔よく言われたものでしたが、まったくその通りでしたね(「新聞読んでばかりいても頭が悪くなる」というのは、当時としては想定外でしたが)。残り時間は少ないと思いますが、一度は麻生総理の主な政策体系「私の目指す日本」をご覧になり、マスコミ報道によらないナマの政策提言・実行状況を確認していただければと思います。
それでは最後に首相就任時の所信表明演説映像を。皆様にとって意義のある選挙結果になりますように。
前回に引き続き、8/30に迫った衆院選の論点です。不在者投票をお考えの方もいることを思い出したので、「民主党を支持すべきでない理由」を先にやりますか...。
ネットの世界でしばしば指摘されることですが、民主党支持者に「民主党の良い点を『自民党』という言葉を使わずに説明してください」と質問しても、まともな回答が帰ってこないというのは興味深い事象ですね。結局のところ現状の不安・不満を「自民党にお灸を据える」形で発散しているに過ぎません。例えば、以下のようなパターンでしょうか。
「自民党にお灸を据える」というのは一昨年の参院選と同じような行動原理だと思いますが、その結果何が起こったのか、躍進した民主党が何をしたのかを、投票前に整理しておく必要があるのではないでしょうか。
民主党を支持する方にとっては厳しいと感じられる採点だったかもしれませんが、実情はこんなところでしたよ。そのような政党に政権を委ねて、現状抱えている問題がどのように解決されるのか、じっくりと説明していただきたいものです。「自民党」という言葉を使わずに、ですが(笑)
なお、衆院選のマニフェストについての議論はあちこちでなされているので、ここでは触れません。あまり取り上げられない観点のうち、何点か気になる点をあげておきます。
自民党(というよりも麻生政権)を信頼できる理由については、来週にでも。この週末に時間がある方は、ぜひノーカットの党首討論をご覧ください。普段はマスコミの切り貼り編集で覆い隠されていますが、ノーカット版をご覧になれば両党の党首の力の差は歴然ですよ。
最後に民主党的な議論の仕方について、興味深い分析がありましたので引用しておきます。この論法を頭に入れて、騙されないようにしてくださいね。
鳩山代表に限らず、これは民主党のほとんど全ての議員(新人、中堅から執行部の幹部議員に至るまで全て)が、実は同じ論建てをしている。 国会中継をつらつら見ていて、毎回いつもなんというかムカツクwしゃべり方をするなあ、と気になっていたのだが、民主党論法は概ねこんな感じ。
まず、相手に「俺が考えたおまえのダメなところ」という表現をして、相手の主張を換骨奪胎したものを先に脳内補完して説明してしまう。 そうすると、相手は「いやいや、それは誤解で俺が言いたいのはこういうことで」ということを説明する(受け)ことになる。そもそも、主張が間違って伝わっているのだから、その「間違った解釈」に乗ってしまっては話にならないからだ。
相手が「それは誤解」という説明をしたところで攻守交代すると、民主党はまず冒頭で必ず「よくわからない」「全くダメ」「話にならない」という感じで、具体論ではなくて印象論で相手の答弁・返答を全否定する。 この部分はテレビ番組のダイジェストなどでも引用しやすい。返答は具体性を突き詰めれば微に入り細に入りになるし、そうした長文引用などしていられないから、それを民主党側が「脳内総括」して印象付けした否定的な結論を、反論の冒頭で必ずくっつけるわけだ。 そうすると、途中を端折ってオチの部分だけを記憶しているオーディエンスは、具体的=長い説明が、その冒頭の総括で断定されたような気分になってしまうので(ダイジェストを作るときに)、そこを抽出してダイジェストを作ると、自然と「民主党が圧勝」のように見えてしまう。
つまりこれは、「具体的な説明」をさせるように見せかけて、その労力を全て「予め用意しておいた印象・断定総括」で吹っ飛ばしてしまう、というやり方なわけだ。 もちろん、相手の主張についても予め脳内で「誤変換」しておいたものを前提にし、それに基づいた「自分の正しい結論」に誘導し、相手の主張に対しては決して理解したり、同意したりはしない。相手に一部でも同意したら、自分の理解に基づく自分の正論が崩壊してしまうためだ。
こうした「相手の主張を自分に都合良く誤変換し、それに基づいて結論を決めつけて、相手を自分の結論から排除してしまう」という論述方法は、ストローマンとか藁人形論法とか言うらしい。
皆様もすでにいろいろお考えのこととは思いますが、今のうちにしっかり意思表明をしておかないと後悔することにもなりかねないので...。
8/30に迫った衆院選の論点はいろいろあるかと思うのですが、焦点は景気対策・社会保障政策あたりでしょうか。相も変わらずマスメディアはどうしようもない報道やら(自称)評論家・ジャーナリストのコメントを垂れ流しにしているようですので、この場で自分なりに論点を整理してみることにします。「景気対策について」「麻生政権を支持すべき理由」「民主党を支持すべきでない理由」という論点で何回かに分けてエントリを投入しますので、異なった意見を持つ方でも目を通していただければ幸いです。
ということで、まずは景気対策です。私は麻生内閣の政策は非常に迅速・適切であると評価しています(「対応が遅い」と批判するメディアもありましたが、対応が遅れたのは民主党が審議拒否・採決拒否で足を引っ張ったからであって...)。自民党と民主党の経済政策の違いを財源論だけに求める議論も散見されますが、これは適切ではありません。両者の違いについてわかりやすく整理されている三橋貴明氏のblog記事を3つ、連続で引用します。
なぜわたしが「フローとストック」にこだわっているかというと、この部分にこそ、民主党の景気対策の欠陥が露骨に出ているからです。改めて国家経済のフローとストックについてご説明しますが、要はGDP(フロー)と国家のバランスシート(ストック)のことです。添付の横棒グラフになっているのが、2008年の日本の名目GDPで、表の方が2008年末におけるバランスシートなわけですね。この二つは互いに影響を与え合い、国家経済を成長させていきます。
例えば、すでに実施された定額給付金は、ストック(バランスシート)上の政府の負債を増やし(=国債で資金調達し)、家計に2兆円分給付したわけです。給付されたお金を家計が消費に使うと、フロー(GDP)上の個人消費の部分を増やします。(ここから、乗数効果が始まります。)消費に使われなかった部分は、バランスシートの家計の資産の方に積み上がるわけです。(この辺、消費性向や貯蓄性向により、決まります)あるいは、予定されている公共投資拡大も、バランスシートの政府の負債を増やし(=国債で資金調達し)、GDPの公共投資の部分を増やすことで、フローの成長を狙っているわけです。(この場合も、やはり乗数効果が始まります。)自民党政権の景気対策は、基本的には「ストック⇒フロー」という流れになり、フロー(GDP)を高めることで国家経済を成長させることを意図しています。
それに対し民主党の方ですが、同党の景気対策は、基本的に「フロー⇒フロー」になっているところが特徴的です。
例えば、子ども手当ての場合、扶養控除などを廃止(=増税する)し、財源を確保した上で、給付されます。家計の扶養控除を廃止すると、可処分所得が減りますので、当然ながらフローの個人消費は減ることになります。あるいは、「公務員や公務員の人件費を削減して、景気対策!」も、フロー上の政府最終消費支出を減らし(公務員の人件費は、GDP上の政府最終消費支出項目)、別のフローを高めようというものです。
要するに、民主党の景気対策は、「ストック」の方をまるで無視しているところが特徴的なのですが、これは恐らく民主党が「日本政府は負債増加で財政破綻する!」なる、日本財政破綻原理主義の人たちと近い立場にあるためだと思うのです。国債金利が1.2%台という異常に低い数値で推移している以上、ストック上の政府の負債を増やし、フローを高めるのが景気対策の王道になります。にも関わらず民主党が「フロー⇒フロー」にこだわるのは、単純に「フローとストック」について理解していないのか、あるいは自民党と無理やりに差別化しようとして、泥沼に嵌まってしまったかのいずれかでしょう。
民主党の「フロー⇒フロー」の景気対策では、現在の日本にとってほとんど何の役にも立ちません。そもそもフローの成長率が高まらないことが問題になっているときに、景気対策を理由にフローを削りとろうとしているわけですから。
わざわざフォローする必要もないかと思いますが、念のため。「フローの成長率が高まらない」(またはフローがマイナス成長する)原因は需要不足なので...ということはつまり、デフレスパイラル再びということになります。
現在、09年当初予算に盛り込まれた公共事業7兆4千億円の内、4兆円以上の契約が終了しています。このまま予定通り事業が施行されれば、フローの拡大(乗数効果)が始まるわけですが、民主党は公共事業を大々的に削減するという姿勢を変えていません。
例えば5兆円の公共事業をストップすると、それはそのままGDPのマイナスになります。もちろん、フローの問題だけではなく、事業が中止された結果、雇用は確実に悪化します。要は、失業者が増えるわけです。さらに、その5兆円が「子ども手当て」に回されたとして、それが貯蓄に回ってしまうと、GDPは全く増えません。子ども手当ては減税などと同じ所得移転ですので、配られるだけではフローは拡大せず、あくまで「使われなければ」GDPは増えないのです。
鳩山は党首討論で、成長戦略について、「家計を中心に内需を拡大する」などと言っていました。百歩譲って、子ども手当ては「定額給付金」の一種と思えば、家計の消費拡大に貢献する可能性はないわけではありません。しかし、そのために公共事業などを中止し、雇用不安を煽り、経済の全体のパイ(GDP)を縮小させてしまった場合に、子ども手当てを受け取った人々は、本当に消費拡大に走るでしょうか。むしろ現実は逆でしょう。きちんとGDP全体が拡大していき、人々の雇用が維持され、かつ給与所得が上昇していって、はじめて個人消費の拡大は加速することになるのです。要するに民主党の「成長戦略」とやらは、根本からおかしいのです。
公共事業の是非を巡っては様々な意見がありますが、公共事業の大幅な削減が地方経済に壊滅的な打撃を与えた原因の1つであったことは事実と言わざるを得ません。格差の拡大を問題視する一方で公共事業の大幅削減を支持する方は多いようですが、ロジックの一貫性について自分で疑問を持つことはないのでしょうか?
さて、民主党の何が嫌かと言えば、↑このような数値データ(引用注:日本国2009年第2四半期(4月-6月期)実質GDP成長率構成)に基づいた「現状」を無視した対策を、「マジで」やろうとしているところです。補正予算を凍結するということは、エコカー減税、エコポイントを停止し、折角拡大しつつある個人消費に水を差します。何らかの代替案が用意されているというならともかく、そんなものは存在せず、あったとしても9月に予算編成して間に合うはずがありません。(予算組み替えの大混乱の中、年が終わるでしょう。)また、日本に「ジパング再来!」をもたらすであろう公共投資、第2四半期からきちんと成果が出ている公共投資を、この期に及んで中止するなど、はっきりいって正気の沙汰じゃありません。
ここは是非、麻生首相始め自民党の面々には、以下のロジックで民主党に問いただして頂きたいと思います。
「政府の政策効果で実質GDPが年率換算3.7%の成長になったが、ここで補正予算を凍結し、民主党は一体『何の支出項目』に成長要因を求めるのか。その際に、『幾ら』の予算を政府が投入するべきで、その予算は『どこから』持ってくるのか。もちろん民主党の主張している予算調達方式、すなわち公共投資削減や公務員の人件費削減が、実質GDPをマイナス成長させることは『子どもでも理解できる足し算引き算の世界』だが、民主党はそもそも『GDPとは何か』『景気対策とは何か』について理解しているのか」
はっきり言って、ことは自民党を支援する、しないの問題ではなく、「日本経済の成長を継続させるか」、それとも「マイナス成長に舞い戻らせるか」の選択なのです。
余計なお節介だとは思いますが、お子さんやお孫さんをお持ちの方で(雇用や経済情勢の安定に着目して)「子のために(孫のために)良い社会を...」ということを重視するのであれば、民主党に一票を投じるのは自殺行為です。どうしても心情的に自民党に票を入れたくない場合は、「確かな野党」共産党(笑)や国民新党、みんなの党、改革クラブといった他党に票を入れるのがよろしいかと思います。
いきなり降って湧いた相模原市のBRT計画(場合によっては弊社立ち退きも)への対応(延べ3回に渡って各種の住民説明会に出席したりパブリックコメントで対抗するために交通政策を勉強したり)とか新年度の講義が始まったりとか大物改訂案件があったりとか家庭内風邪が蔓延して潰れていたりとかしていた関係で、またしても更新が途絶えてしまい申し訳ございません。
とにかく最初に触れたBRT(Bus Rapid Transit)計画が頭の痛い問題で、将来に渡る生活設計・事業設計が脅かされているのが実情です。12mの都市計画道路予定地の影響範囲外に住居を定めたのに、(地元に何の説明もなしに)いきなり「予定ルート決めました」「バス専用道とあわせて(12mの都市計画道路予定地に)30m道路を導入します」「パブリックコメント実施します(パブリックコメント開始日夜に一部自治会への説明がはじめて行われる)」というのは、いくら何でも酷すぎるというか進め方として不誠実すぎるだろうと。ましてや、事業目的と現実認識が乖離している説得力皆無の計画案では、協力する気にもなれないというのが本当のところ。頑張って勉強して、10ページ超のパブリックコメントを出しましたとも、ええ。
とりあえずネット上で(感情的ではない)まとまった反論の例としてはこのページがしっかりしていると思われますので、興味のある方はぜひ一度ご覧くださいませ。内容的に偏っているとはいえテレビ番組で扱われるわ、異例のパブリックコメント再実施にはなるわ、計画に反対する市民団体はできるわで、この問題を巡って現在大騒ぎ。弊社存在地の相模大野駅周辺は地価と利便性のバランスがそこそこ良くお勧めだったのですが、こんな行政では他事業者の方に危なくてお勧めできないですね...。
とまあ、今日明日に方向性が決定されるわけでもない問題に精神的なリソースを割いているのは勿体ないので、目の前の仕事をしっかりやるということで。昨今の経済情勢の影響もあり業務負荷も当面それほどではありませんので、いろいろ研究なども進めていきたいと考えています。また、大学の講義だけでなく企業における教育にももう少しタッチしていきたいですね。マニュアルライティング周辺の教育について実務で悩まれている方のお話など、ぜひお伺いしたいところです。直接仕事に繋がらない話も大歓迎(笑)ですので、お気軽にご連絡いただければ幸いです。
思考実験をしてみましょう。以下の文章をお読みください。
まあ良くある光景ですよね。一般的には、以下のような点を分析した材料を揃えることになるでしょうか。
もちろんその際に、「判断基準自体がおかしいのでは?」「自社の要求が不適切なのでは?」「A社の言い分をきちんと聞いているのか?」「B社の選定理由の根拠が薄弱なのでは?」「移行期間の問題想定が甘いのでは?」などなど各種様々な突っ込みが入る訳ですが、企業活動の現場では良くある話です。その種の突っ込みを無視して「とにかくA社はもうダメです!B社に購買先を変更しないと我が社は終わりです!」とか「一回B社にやらせてみて、ダメならA社に元に戻せば良いでしょう」なんて主張したところで、一笑に付されるのがオチです。それどころか、そのような主張をした人の実務能力が疑われる事態に発展することになるでしょう。これってビジネスパーソンとして当たり前の話ですよね?いやいや、一般的な社会常識としても当たり前の話ですよね?と言い換えましょう。
ところが、それが通用しない世界があるのです。それは何かというと...。
上記の「当たり前」が通用しない話とは、昨今の政権交代を巡る議論なのです(ちょっと考えれば、A社=自民党、B社=民主党というのは容易に推測できますよね)。ビジネスの世界では常識とされる論理的な思考行動が、自分の生活・ビジネスの現場に直接的な影響を与える投票行動に適用されないというのはどうしたことでしょうか?野党の政策を検討した訳でもないのに、政権交代を主張する。これは先の「とにかくA社はもうダメです!B社に購買先を変更しないと我が社は終わりです!」とか「一回B社にやらせてみて、ダメならA社に元に戻せば良いでしょう」とどのように違うのでしょうか?
特に絶望的な気分にさせられるのが、各種世論調査における40〜60歳台男性の民主党支持率の高さです。ビジネスの現場で意志決定を担っている立場の方が多いはずであるにも関わらず、この醜態はいったい何なのかと。逆に考えれば、(先のサブプライム問題をきっかけにした経済危機を除いても)日本経済がイマイチだというのは、この種の人達がマネジメント層に多いからだということも言えるのかもしれません。ビジネスパーソンとしての自分、生活者としての自分、有権者としての自分、それらを別々のものとして考えているからこのようなことになるのです。有権者としての自分の意志決定は他二者に影響しますし、他の面についても同様です。
結局のところ、すべては相互に関連している、という想像力・連想力が欠落しているのが一番の問題という訳で...(例:自動車生産現場の労働者を安価で雇用して、自動車の販売台数が増えないと嘆く)。先の「ダメなら元に...」思考など、どういう訳か自分だけは相互の関連から除外されているという都合の良い前提(自分は「ダメなら」の影響を受けない)に立っていて、頭が痛いです。もっと酷い人になると、「ここらで一度リセットが必要!」と言い出すのですが、リセットに伴う社会混乱から自分は除外されていると考えられる、そのお目出度い想像力がス・テ・キ。
さて時節柄生々しい政治話を例に挙げましたが、この種の話は情報設計という行為にも他人事ではないのです。情報設計においてよくある?問題として、地に足の付いていないビジネス書的な格好良い概念論で方針決定・実装を行ってしまい、実際の生活者の視点が抜けてしまうというものがあります。これも想像力・連想力の欠落であり、ユーザーや対象情報、コンテクストに対する想像力や連想力がもっとも求められる職能にとって、非常に恥ずべきことです。
できるだけたくさんの視点を持ち、それぞれの視点から相互に現象・事物を分析できるようになりたいものです。と、ここまで書きながら顔が恥ずかしさで真っ赤になって、だんだんと俯き加減になっていることは秘密です...。もっともっと精進しなければなりません(汗)
いまさらで申し訳ございませんが、本年もよろしくお願い申し上げます。
昨年春(というか一昨年秋)から続く業務多忙がようやく一段落して、ようやく平常に戻りつつあります。ご時世的にこのまま平穏が続くということも考えられる訳ですが、そうはならないよう祈りたいものです。まあ、平穏な間に新しいアイディアを検討したりとそれなりにプランは考えていますので、そうなったらそうなったときということで。
本年初頭の所感として、何点か思うところを。
まあそんなこんなで、本年こそ適切な更新頻度を維持すべく努力したいと思います...。
昨年秋以降の業務多忙が本格化/悪化しつつ継続中です...。
この国には「公然の場所で政治の話は避ける」という習慣があるので、このコーナーでも政治の話は避けるようにしていたのですが、さすがに黙ってはいられない状況になってきたと感じます。
参院選前からの一連の扇動報道に対して呆れている人はそれなりに多くて、選挙結果もそれほど極端なことにはならないのではないかと楽観視していたんですが、印象操作に乗る人の多さに愕然としました。 本当にマスメディアの天下で、まさにやり放題ですね。ネットに押されているかもと怯えていた彼らも、自分たちの力に自信を持ったことでしょう。今になって民主党の方向性や政策案にとってつけたような注文をつけてバランス取っているように見せかけていますが、そういうことは選挙前からやるべきです。
さて、今回の参院選の争点となったのは以下のようなことでしょうか。
それぞれについて、以下のような投票判断に影響を与える可能性のある側面がまったく(またはほとんど)報道されていませんね。
もちろんこういったことをわかっていて、それでも民主党を支持するという選択をする分には問題ありません。人それぞれ政治的信条や投票の理由が違うのは当然ですから。
問題はマスメディアに煽られて、「お灸を据える」と息巻いていたような人達です。前述の側面などは、ネット上で政治問題を取り上げている場所に行けば、自然と入ってくる情報です。最近のネットの普及率にも関わらずこうした情報が広まらないのは何故なのか?を考えると、やはり冒頭の「政治の話は避ける」という習慣だと思うのです。でもこのままではマスメディアのやりたい放題が増すばかりです。「ネットの力」という漠然としたイメージを過信せずに、政治的な話題に関しても自分の考えること・知ったこと・判断の理由を(時々は)公開して議論するという態度が必要なのかもしれません。マーケティングで話題のWOM(Word of Mouth、クチコミ)ではありませんが、政治についてもCGMを意識するべき時勢なのでしょう。
ということで、マニュアルや情報デザイン系の話にこういう話がときどき紛れ込むかもしれませんが、大目に見て頂ければ幸いです。
早くも月刊化を回避するので精一杯の有様です(汗)
講義期間はそっちで使用するネタを考えるのに頭が回ってしまい、どうしてもblogの更新が途絶えがちになりますね...。突っ込みネタとかをやると簡単なんでしょうけど、どうしてもネガティブ方向に振れがちになりますからね。マニュアル制作に関する講義で何を教えるべきか?という講義関連の話題については、そのうち考察記事をしっかり起こして問題意識の共有などできればと考えています。
というわけで、今度はあまり更新頻度が空かないように努力いたします...。
更新間隔が空いてしまい、申し訳ありません。
更新が止まってしまうほど多忙で身動きが取れないということではまったくなく、安らかな日々を送っております。ただやはり記事を起こそうとするとそれなりに考えをまとめる必要があったりするわけで、下手なことは書けないという重圧感があります。で、更新頻度下がる→余計にプレッシャーかかる→会う人会う人に「最近お忙しいみたいなので...」と言われる、という悪循環に陥っております(笑)
この状況を改善するために「日々の雑記」というカテゴリを起こして、もう少しお気楽に日頃考えていることや思いついたことを書くようにしてみます。いやもちろんこれまで書いてきたことも「お気楽に日頃考えていることや思いついたこと」レベルではあるんですけど、気持ちの問題ということで。
とまあ、こういう感じで更新頻度を維持したいと思う次第であります。そもそも「情報大工のひとりごと」をblog化したのも同じような目的だったような気がしますが、なかなかうまくいかないものですね。