情報大工のひとりごと

「日々の雑記」記事の一覧

残暑お見舞い申し上げます(2014)

2014年8月18日(この記事のみ表示

気が付いたら今年一度も更新していないじゃないですか! ということで、仕事が一段落したこともあり、最近考えていることをつらつらと書いてみます。

この数年「なんだかなあ...」と、いろいろと行き詰まりを感じることが正直なところ増えました。

  • 例えば「トリセツWeb化計画」とか、頭痛がします。とりあえずこの図だけは絶対に許せない、時系列で明示してる辺りが特に(笑)
    確かに電子化・ネットワーク化は利用者にとってメリットは大きいのですが、基本的に「ネット越しでも必要な情報を入手できればいいな(購入時の付属品をいちいち探すのが面倒くさい)」「製品購入前に操作情報を確認できればいいな(本当に自分のニーズに応えられるものなのか確認したい)」という目的に対するもので、探したい情報(や状況)が明確な状況が大部分を占めることになります。
    したがって、製品全体の概要(この部分はカタログやWebサイトの製品説明で展開可能)と詳細な操作指示情報(UIに透過可能な、単純な操作指示)の狭間、個々のユーザーが自分の目的にあわせて機能をどのように使いこなせばよいかという情報(ユーザーのQOLを上げるためのサポート情報)を受け持つ取扱説明書とは、目的も役割も異なります。この狭間をサポートするツールは、パッケージとして完結した状態で製品に付属していなければなりません。「電子版があれば良いのに」と「電子版があれば同梱冊子は要らない」は天と地ほど違うのです。
  • それよりも個別製品サポート情報へのアクセス改善とURLの永続性担保が先のような。
  • 『取説いらずの使いやすい製品』が日本で生まれにくい理由 」も別の意味で頭痛がします。
    取説いらずの使いやすい製品という発想自体が、取扱説明書の機能を狭く捉えすぎていると言わざるを得ません。「操作できる=使える=UX向上」ではないのであって、操作ができることに注目しすぎて、対象機能を使いこなすことによるユーザーのQOL増大(結果としての提供者側の利益拡大)という視点がごっそり欠落しているのが大きな問題です。
    これは設計職の方に良くある「UIの改善によりマニュアルは不要になる」という典型的な勘違いで、不要になるのは狭義の操作指示情報のみ(UI改善でどうにかなるのは狭義の「操作マニュアル」のみ)であって、機能概要などを説明することは困難なのです。対象機能の使いこなしには機能の理解が伴う必要があり、それはUI設計で必ずしも達成できるものではないのですが...。
  • 仕事の環境はいろいとと変わりつつも、TC領域を中心に20年超(!)仕事させて頂いているわけですが、「マニュアル」に対する周囲の理解がいつまで経っても向上していないと感じます。これは業界外だけでなく、業界内においても、です。業界内での問題意識や過去の取り組みの経緯(とその結果)が共有されていないため、いつまで経っても同じようなところをぐるぐる回っているようにしか見えません
    企業活動において外部専門家・専門技能を活用した品質向上活動がTC領域においてほとんど進まなかった(逆に「ソリューション」や「システム」による問題解決(いわゆる銀の弾丸願望)ばかりに注目が集まり、実直な品質改善が疎かにされた)こととあわせて、さすがにどうしたものかと言わざるを得ません。なんだかんだで開設以来18年を超えるこのWebサイトが、この閉塞した状況を変える一助として機能していない点については、力不足を恥じるのみなのですが...。

そんなこんなで、正直なところ様々な点で目算が誤っていた、というか楽観的に過ぎた(笑)と認めざるを得ない感じですね。さーて、これからどうしましょうか

まずは、お仕事絶賛大募集中です!大型小型、特定プロセスのスポット支援含め、ちょっとやらせてみようかな?という機会がありましたら、ぜひ声をお掛けください。制作案件だけでなく、既存の制作体制のままフォーマット改善(改善の前提となる現状品質評価)への外部支援や、まるでユーザーの方を向いていない商品/サービス説明が氾濫するWebコンテンツの改善など、ご協力できる・ご協力したい分野は無限にあるのです!(大事なことなので2度

ちなみに「パッケージとして完結している」のである限り、(電子媒体であってもパッケージとして頭から終わりまでリニアに読むこともできる)EPUBやPDF形式でもOKで、別に紙媒体に拘っているわけではないのです。「全部読んだけどどこにも書いていない!」などのように、ユーザーが全体を確認できないような形で提供されるのはNG、という判断です。まあそれでも電子媒体閲覧の一手間を掛けさせるのを何とかしないと、ですね。

夏バテから復帰中です...(祝:東京五輪2020招致成功)

2013年9月10日(この記事のみ表示

GW前後から抱えてきた大物案件が先月末でめでたく完了したこと、専修大学ネットワーク情報学部のマニュアルライティング講義も本年度分をめでたく完了したことで、少々脱力気味のこの頃です。厳しい暑さがようやく和らいできましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

  • マニュアルライティング講義の講義資料ですが、今年は大学内の講義支援システムで講義資料を公開することを優先したこともあって、サポートサイトがほとんど手つかず放置となっており、楽しみにされていた方には申し訳ございません。近いうちに講義資料公開しますね。カリキュラム構成の恩恵か今年は比較的少人数(68名登録)だったということもあり、学生が手を動かす機会を多めにしてみたのですが、期待通りの効果があった部分とそうでなかった部分もあり、何年やってもやはり講義設計は難しい...。
  • 今年から地方自治体の某委員会に公募委員として(一個人として)参加しているのですが、TC的というかHCD的というか、そういうアプローチが政策決定分野においても有効であることを強く感じています。まあ「強く感じる」と言うことは、現状ではその種のアプローチがあまり考慮されていない(利用者視点があまり考慮されず、システム/インフラ視点からのみの目的設定に陥りがち)という訳で、やはり政策決定に携わる人の発想の転換が求められるのかなあと。というよりも、教育を通じてプロセスや手法が社会に広く共有されるための一助を担わねば、と決意を新たにしています。
  • 「想定ユーザーとはそもそも何か?誰を意味するのか?」という、閲覧コンテクストを考える上ではずせない重要なポイント(マニュアル評価フレームワークでも明示)が、TC領域でもようやく拡がりつつあるようで嬉しいです(例:マニュアルディレクションあるある06:ターゲットユーザーふたたび)。一口に想定ユーザーと言っても、a.製品/サービス企画段階の想定ユーザー、b.実際に使用するユーザー、c.マニュアルを読むユーザー、のどれを指すのかで前提がまるで変わってきますからね。c.についても、閲覧時のコンテクストおよび閲覧対象情報という特定の状況においてユーザー像はまったく異なることにも注意が必要です。この部分については、早めに研究発表を更新したいと考えています。
  • TCシンポジウムはじめ協会の活動についてはいろいろ言いたいことがないわけではないのですが、当面放置かなあ的な感じです。周回遅れや重視すべきポイントのズレはいつまで経っても直らないし、近隣領域との交流も何だかなあ状態。そもそも(以下自主規制)
  • ようやく身軽になったこともあり、お仕事絶賛大募集中です!大型小型、特定プロセスのスポット支援含め、ちょっとやらせてみようかな?という機会がありましたら、ぜひ声をお掛けください。制作案件だけでなく、既存の制作体制のままフォーマット改善(改善の前提となる現状品質評価)への外部支援や、まるでユーザーの方を向いていない商品/サービス説明が氾濫するWebコンテンツの改善など、ご協力できる・ご協力したい分野は無限にあるのです!(有限会社文書情報設計のWebサイトは、リニューアルに向けて現在いろいろ修正中です)

衆院選2012:後悔しない4年間を過ごすために

2012年12月 3日(この記事のみ表示

というわけで衆議院選挙が明日公示されるわけですが、この3年間の経験を教訓として整理しておきましょうか。

  • 実現可能な移行計画を用意できない制度計画は、画に描いた餅ということ。
    埋蔵金があるから大丈夫とか後期高齢者医療制度廃止とか何だったんでしょうね。
  • 合意形成を疎かにしてはならないこと。
    選挙前から指摘されてきた通り、合意形成努力の放棄、既存法制度だけでなく議論のルール(国会での慣習含む)軽視が顕著に表れたのが、特例公債法案成立が晩秋までずれ込むという前代未聞の事態でした。
  • 法制度や慣習、対応マニュアルを疎かにしてはならないこと。
    原発事故発生時に既存の対応マニュアルを政府が無視し続けた結果、被害拡大の原因・問題分析が困難になってしまいました。また、現時点でも要請といった法的根拠の存在しない形で原発稼動を停止させ、事故当事者以外の電力会社の経営悪化を強いています。
  • デフレ状況下で予算縮小や規制緩和といった方向では、景気回復は難しいこと。
    事業仕分け(懐)円高放置もありましたし、麻生政権の経済政策がすべて実施されていれば...と思わざるを得ない経済状況が続いています。

個人的には「だから言わんこっちゃない」(前回衆院選前のエントリ)としか言いようのない3年間だったわけですが、3年間をどう総括するか、この3年間の原因は一体何だったのか(どうして誤った選択をしてしまったのか)が問われているわけです。

今回の選挙での争点もいろいろ挙げられていますが、先に挙げた教訓が一番色濃く出るのがいわゆる「脱原発」でしょうか。もちろん脱原発が早期に実現できるに越したことはないのでしょうが、

  • 政治的に可能なのか
    (社会的な合意形成は得られるのか→電力不足による節電強制に耐えられるか)
  • 経済的に可能なのか
    (燃料費負担増とそれに伴う電気料金値上げに耐えられるのか)
  • 技術的に可能なのか
    (法制度として可能なのか、科学技術的に可能なのか、移行期間の対策は十分なのか)

といった面を十分に検討した上で脱原発を主張している勢力は、皆無と言わざるを得ません。

自然エネルギーではベース電力を代替できないどころかバックアップとして火力発電所を常時スタンバイさせておく必要がありますし、火力発電依存への回帰は先の大戦の開戦原因やオイルショック、ロシア・ウクライナガス紛争というこれまでの事象を無視しています(化石燃料依存の発展途上国に負担増を強いている側面も見逃せません)。発送電分離はエネルギー供給問題自体を解決するものではありませんし(送電インフラのコストは誰が負担するのかも曖昧)、代替エネルギー開発に国家リソースを投入することは結構ですが早期の実用化にこぎ着けられるかどうかは別の問題です。下手をすると現状の原発を騙し騙し使い続けて老朽化したところに、再度の大規模自然災害という最悪な状況にもなりかねません。

現時点での旧型原子炉の停止・廃炉はやむを得ないとしても、一定の安全対策を満たしたものは再稼働し、さらに安全性と効率を向上させた最新型へ徐々に置換・集約していく。その一方で代替エネルギー開発を進め、代替の目処が立った時点で脱原発の具体的スケジュールが検討議題として上がる...というのが現実的な脱原発アプローチの一例でしょう(もちろん別のアプローチもありえるでしょう)。

まあこの問題は1つの例であって、結局のところどのような争点であれ、シングルイシューとして連呼する政策を実現するための「パッケージ」を用意できているか、根拠や移行計画は妥当か、議員の資質は十分か、がポイントになるわけです(少なくともこのような発言は論外と言わざるを得ません)。個人的には今回の選挙も前回同様に自民党しか選択肢がない(現実的に選択の余地がない)のが残念ですが、皆様も自分なりに後悔のない選択をされますよう。我が国の余力もかなり厳しくなってきていますので、「一回やらせてみよう」「ダメなら替えればいい」「お灸」といった安易な選択はナシでお願いしますね。

2009衆院選の論点(3/3)

2009年8月28日(この記事のみ表示

というわけで、投票日ギリギリ(笑)に何とか間に合って良かった...。最後に「麻生政権を支持すべき理由」を考えてみましょう。

といっても話は簡単で、内政、外交の両面でしっかり仕事をしている政権を否認する理由がないことに尽きます。否認する方がいらっしゃるのも当然でしょうけれども、その理由をよく考えてみようということです。よく聞かれる理由としては、「馬鹿だから(漢字が読めない)」「決断力がない(ブレる)」「公務員改革をしない」「国営マンガ喫茶が」といったあたりでしょうか。

まずは馬鹿というのはあり得ないですね。「漢字を読み間違ったことが何回かある」がどうして「漢字を読めない」ことになるのか、まったく不思議です。「漫画ばかり読んでるからだ」など、マスコミ報道に毒されすぎです。問題のポイントを見抜く力、頭の回転の速さはこの国の首相として十分な力を持っています。総理就任早々の国連演説で、同時通訳配信用機器が故障した際に英語でジョークを飛ばして切り抜けた映像、見たことはありませんか?

ブレるという批判も、マスコミ報道だけを見ている人特有の誤解です。発言全文ソースを丁寧に追っていけば、まったくブレていないことがわかります。

そもそも意志決定プロセス(個人意見表明→議論→結論)の各プロセスで意見が変わってくるのは当然で、逆にプロセスを経て意見がまったく変わらない場合にこそ、「頑迷固陋」と批判を受けるべきではありませんか?自由な議論による意見交換、それによる持論の修正までが批判されるようでは、自由主義国家の報道として在り方がおかしいと言わざるを得ません。報道による印象操作については、甘利行政改革担当相のWebページも参考になるでしょう。

ここ数日、党内議員ならびにマスコミ関係者から (2009年) 7月上旬解散の可能性について問い合わせが殺到しました。この件に関して総理は昨夜 (2009年 6月 27日夜)「いつ解散するとも、いつ内閣改造するとも一言たりとも言った覚えはない。周りが勝手に色々言っているだけの話だ」と反論いたしました。

確かに総理がこの件に言及したという事実はまったくありません。今朝 (2009年 6月 28日朝) のテレビ (TBS系列) でも評論家たちが、解散や改造でも総理はぶれているとの『ノー天気発言』をしていました。自分たちが勝手に推測し、それを総理に否定されると「ぶれている」と、自分の見通しの間違いを総理のせいにするものですから、もはや開いた口がふさがりません。

国会リポート 第166号 2009/6/28 甘利明 公式サイト

公務員改革についても報道がおかしいですね。まずは甘利行政改革担当相の以下の記事に目を通していただきましょうか。マスコミ報道と随分印象が違いませんか?

そもそもなぜ天下りが発生するかと言えば、上へ行けば行くほどポストの数が減っていくために肩たたきをして自主的に公務員をやめてもらう『勧奨退職制度』に根源があります。人員整理の名のもとに何の瑕疵もない公務員の首を切る事ができない以上、本人の同意を取り付けなければなりません。子供を抱え、家のローンも抱えている公務員を辞めさせるためにその後の仕事を斡旋する事で、本人同意による退職であるという体裁を整えるためです。

民間企業でも、何の瑕疵もない従業員を使用者側の一方的都合で首切りをする事ができない以上、この天下り防止対策を抜本的にとっていくためには、真面目に働いている限り定年まで勤め上げることができる体制を作っていく事が必要です。

今の給与体制のまま全員を定年まで抱えるとすると、人件費は相当膨らんでしまいます。定年まで勤め上げられる体制の整備と全体の人件費を抑制する制度を、合わせ技で時間をかけてやっていかなければ総人件費削減計画との整合性もとれません。天下り禁止法という法律で明日から天下りをなくすという事は、非現実的であるとともに極めて無責任なウケ狙いとしか言わざるを得ません。すでに法改正により不透明と言われる各省斡旋による再就職支援は禁止され、真に求人側のニーズに合った情報提供機能としての中立的機関である官民人材交流センターに一元化される事が総理の英断で決定いたしました。もちろん、いくつもの団体をハシゴする『渡り斡旋』は即刻禁止されておりますので、天下り禁止の抜本対策はすでに軌道に乗っているという事になります。

国会リポート 第165号 2009/6/21 甘利明 公式サイト

ちなみに麻生総理はこの問題について、所信表明演説の際にどう表現したでしょうか。先の甘利行政改革担当相の記事と合わせて、どうお考えになりますか?

行政改革を進め、ムダを省き、政府規模を縮小することは当然です。 しかし、ここでも、目的と手段をはき違えてはなりません。政府の効率化は、国民の期待に応える政府とするためです。簡素にして国民に温かい政府を、わたしはつくりたいと存じます。地方自治体にも、それを求めます。 わたしは、その実現のため、現場も含め、公務員諸君に粉骨砕身、働いてもらいます。国家、国民のために働くことを喜びとしてほしい。官僚とは、わたしとわたしの内閣にとって、敵ではありません。しかし、信賞必罰で臨みます。 わたしが先頭に立って、彼らを率います。彼らは、国民に奉仕する政府の経営資源であります。その活用をできぬものは、およそ政府経営の任に耐えぬのであります

第170回国会における麻生内閣総理大臣 所信表明演説

さて「国営マンガ喫茶」というレッテル貼りがまかり通っている 国立メディア芸術総合センターについてですが、実際は漫画(というかアニメ)以外にもメディアアートなど図書以外の表現を総合的に扱う施設であり、この分野における日本の強さを考えれば無駄遣いという批判は当たらないと思います。ということでまずは、以下の映像を見ていただくのが早いでしょうかね。「涼宮ハルヒの憂鬱」というTVアニメのエンディング動画のダンスが世界各国で踊られている、というものです。

(このダンス自体はともかくとして)日本の風習や文化、日本人のものの見方・考え方をこれだけ世界各国に伝えることのできるコンテンツ分野が、他にあるでしょうか?「民間に任せておけば良い」と主張する人もいますが、現状の民間任せでどれだけの資料散逸が起こっているか。これだけのソフトパワーを持つコンテンツ分野に対して、コンテンツ自体だけでなく資料類の保存・展示などに国が積極的に関わっていくことに、一体どんな問題があるというのでしょうか?

ということで代表的な?ポイントのみ触れましたが、いかがでしたでしょうか。「TVばかり見ていると頭が悪くなる」と昔よく言われたものでしたが、まったくその通りでしたね(「新聞読んでばかりいても頭が悪くなる」というのは、当時としては想定外でしたが)。残り時間は少ないと思いますが、一度は麻生総理の主な政策体系「私の目指す日本」をご覧になり、マスコミ報道によらないナマの政策提言・実行状況を確認していただければと思います。

それでは最後に首相就任時の所信表明演説映像を。皆様にとって意義のある選挙結果になりますように。

2009衆院選の論点(2/3)

2009年8月21日(この記事のみ表示

前回に引き続き、8/30に迫った衆院選の論点です。不在者投票をお考えの方もいることを思い出したので、「民主党を支持すべきでない理由」を先にやりますか...。

ネットの世界でしばしば指摘されることですが、民主党支持者に「民主党の良い点を『自民党』という言葉を使わずに説明してください」と質問しても、まともな回答が帰ってこないというのは興味深い事象ですね。結局のところ現状の不安・不満を「自民党にお灸を据える」形で発散しているに過ぎません。例えば、以下のようなパターンでしょうか。

  • 「チェンジ(笑)を求める!」
    変化が望ましい方向にのみ起こるものであれば良いのですが。それに世界各国と比較して日本がそれほど駄目な国だとは思えませんが...。
  • 「一度やらせてみて、ダメなら変えればいい!」
    選挙互助会の異名を持つ政党が内部分裂して、内閣不信任案が可決される事態を望むのも都合が良すぎると思います(案の定、民主党の岡田幹事長は「4年間解散しない」と発言)。
  • 「とにかく今のままではジリ貧だ!」
    60数年前にも同じような発想で大火傷をしたことがありました。
  • 「誰がやっても同じだ!」
    現在の官僚機構への信頼が厚いのですね。民主党に任せる理由が(略)

「自民党にお灸を据える」というのは一昨年の参院選と同じような行動原理だと思いますが、その結果何が起こったのか、躍進した民主党が何をしたのかを、投票前に整理しておく必要があるのではないでしょうか。

  • 年金問題を争点にして勝利した民主党ですが、年金問題を解決するために何をしたでしょうか。何もしていません。定期的に「新たな年金問題が発覚!」と報道されますが、問題を起こしていた社会保険庁職員が自ら明らかにする事例ばかりです。どうして与党の調査には明らかにせずに、野党にばかり協力するのでしょうか?そういえば問題を起こしていた当人達が所属する労働組合(自治労)は民主党の支持組織でしたね。そもそも「実はこんな悪いことをしていました、こんなこともしていました」と当人が明らかにしているのに、叩かれるのは政府ばかりというのは、かなり歪んた事態ではないでしょうか。
  • そういえば政治とカネも争点になっていましたね。民主党の前代表と現代表が問われている、迂回献金問題と故人献金問題はどうしましょうか。迂回献金問題はグレーな余地がまだあるのでセーフかもしれませんが、故人献金は政治資金規正法違反ですから「国策捜査だ!」どころではなく、いつ逮捕されても不思議ではありません。マルチ業界との癒着も疑われている議員も存在するようですが、「政治とカネの問題はもう解決した」として争点にはしないのですか?
  • 衆議院における2/3再議決を「強行採決だ!」「数の横暴だ!」とよく批判しましたが、昨年末の所謂「緊急雇用対策関連4法案」は野党が多数を占める参議院において、審議時間2.5時間で可決しましたね(法案内容について馳議員の日記)。参院議長は「迅速採決とは言えるかもしれないが、強行採決とかいう話じゃない」とコメントしたそうですが。(多数派による濫用を防ぐため)証人喚問の実施にあたっては全会一致の原則という慣例があったにも関わらず、これも無視して証人喚問を議決したこともありましたね。民主主義を守るための手順を軽視する参議院の惨状を見るにつけ、「強行採決を濫用してやりたい放題の議会運営をしてきた」と思われがちな自民党が、少数政党の発言権や議会運営のルールをどれだけ大切にしていたか、良くわかります
  • この2年で参院民主党が一番精力的だったのは、国益と国民生活をまるで考慮しない、審議拒否と採決拒否でした。テロ対策特措法は審議拒否によって一時失効して、活動が高く評価されていた海上自衛隊は一度引き上げざるを得なくなりました。昨年春の租税特措法を巡る混乱(所謂ガソリン税を巡る混乱)では、衆参両院議長の調停を反故にするという暴挙にまで出ました。おかげでガソリン販売に関わる多くの会社・個人を混乱に陥れただけでなく、地方自治体の予算執行凍結の影響で(資金繰りに苦労している)地方の建設業者に大きなダメージを与えました。補正予算を巡る妨害も、記憶に新しいですよね。
  • 「政策より政局、解散、政権交代!」ということで、まともな対案が発表されることはありませんでした。後期高齢者医療制度についても廃止を主張するばかりで、当該制度が導入されるに至った背景や問題点を解決する方策が提案されることはありませんでした。製造業派遣禁止によって発生するであろう、国外への工場・雇用流出への対応も真剣に検討された形跡はありません。予算案などにおいても、自党案丸呑み以外は決して認めないという態度に終始し、「議論や協議によって自党の政策を反映し、票を投じた有権者の期待に応える」という姿勢を見せることはありませんでした

民主党を支持する方にとっては厳しいと感じられる採点だったかもしれませんが、実情はこんなところでしたよ。そのような政党に政権を委ねて、現状抱えている問題がどのように解決されるのか、じっくりと説明していただきたいものです。「自民党」という言葉を使わずに、ですが(笑)

なお、衆院選のマニフェストについての議論はあちこちでなされているので、ここでは触れません。あまり取り上げられない観点のうち、何点か気になる点をあげておきます。

  • 先に挙げた問題点とも関連しますが、民主党のアイディアは既存の法体系やルールとの整合性、現状からの移行計画という面で粗があることが多すぎます(現状の理由をしっかり分析できていないことが原因)。社会人としてある程度の経験を積んだ人であれば誰しも理解していることだと思いますが、新しいアイディアを提出することよりも、それを実行できるような計画に落とし込むことの方が難しいのです(そして実行することは遙かに難しい)。官僚を頼らないと宣言しているのであれば尚更、現在の野党という立場であっても整合性があり、蓋然性が高い方策を提案できなければなりません。
  • 脱官僚を好意的に受け止める方も多いようですが、現状の不満を官僚にぶつけているだけではありませんか?それに皆さんが経験上不満を持たれている官僚(公務員)は国家公務員ではなく、地方公務員ではありませんか?地方公務員を減らす権限を持っているのは自治体の首長と議会であり、国政選挙の場でそれを期待するのは少々筋違いです。ちなみに公務員組合を支持組織に持つ民主党が、本当に公務員を減らせると考えるのは楽観的に過ぎます。民主党は「(杜撰な年金記録管理をしていた)社会保険庁の職員を(よりによって)国税庁に移管して歳入庁に再編する」とまで主張しているのですよ。

自民党(というよりも麻生政権)を信頼できる理由については、来週にでも。この週末に時間がある方は、ぜひノーカットの党首討論をご覧ください。普段はマスコミの切り貼り編集で覆い隠されていますが、ノーカット版をご覧になれば両党の党首の力の差は歴然ですよ。

最後に民主党的な議論の仕方について、興味深い分析がありましたので引用しておきます。この論法を頭に入れて、騙されないようにしてくださいね。

鳩山代表に限らず、これは民主党のほとんど全ての議員(新人、中堅から執行部の幹部議員に至るまで全て)が、実は同じ論建てをしている。 国会中継をつらつら見ていて、毎回いつもなんというかムカツクwしゃべり方をするなあ、と気になっていたのだが、民主党論法は概ねこんな感じ。

まず、相手に「俺が考えたおまえのダメなところ」という表現をして、相手の主張を換骨奪胎したものを先に脳内補完して説明してしまう。 そうすると、相手は「いやいや、それは誤解で俺が言いたいのはこういうことで」ということを説明する(受け)ことになる。そもそも、主張が間違って伝わっているのだから、その「間違った解釈」に乗ってしまっては話にならないからだ。

相手が「それは誤解」という説明をしたところで攻守交代すると、民主党はまず冒頭で必ず「よくわからない」「全くダメ」「話にならない」という感じで、具体論ではなくて印象論で相手の答弁・返答を全否定する。 この部分はテレビ番組のダイジェストなどでも引用しやすい。返答は具体性を突き詰めれば微に入り細に入りになるし、そうした長文引用などしていられないから、それを民主党側が「脳内総括」して印象付けした否定的な結論を、反論の冒頭で必ずくっつけるわけだ。 そうすると、途中を端折ってオチの部分だけを記憶しているオーディエンスは、具体的=長い説明が、その冒頭の総括で断定されたような気分になってしまうので(ダイジェストを作るときに)、そこを抽出してダイジェストを作ると、自然と「民主党が圧勝」のように見えてしまう

つまりこれは、「具体的な説明」をさせるように見せかけて、その労力を全て「予め用意しておいた印象・断定総括」で吹っ飛ばしてしまう、というやり方なわけだ。 もちろん、相手の主張についても予め脳内で「誤変換」しておいたものを前提にし、それに基づいた「自分の正しい結論」に誘導し、相手の主張に対しては決して理解したり、同意したりはしない。相手に一部でも同意したら、自分の理解に基づく自分の正論が崩壊してしまうためだ。

こうした「相手の主張を自分に都合良く誤変換し、それに基づいて結論を決めつけて、相手を自分の結論から排除してしまう」という論述方法は、ストローマンとか藁人形論法とか言うらしい。

党首答弁討論 - さぼり記

2009衆院選の論点(1/3)

2009年8月20日(この記事のみ表示

皆様もすでにいろいろお考えのこととは思いますが、今のうちにしっかり意思表明をしておかないと後悔することにもなりかねないので...。

8/30に迫った衆院選の論点はいろいろあるかと思うのですが、焦点は景気対策・社会保障政策あたりでしょうか。相も変わらずマスメディアはどうしようもない報道やら(自称)評論家・ジャーナリストのコメントを垂れ流しにしているようですので、この場で自分なりに論点を整理してみることにします。「景気対策について」「麻生政権を支持すべき理由」「民主党を支持すべきでない理由」という論点で何回かに分けてエントリを投入しますので、異なった意見を持つ方でも目を通していただければ幸いです。

ということで、まずは景気対策です。私は麻生内閣の政策は非常に迅速・適切であると評価しています(「対応が遅い」と批判するメディアもありましたが、対応が遅れたのは民主党が審議拒否・採決拒否で足を引っ張ったからであって...)。自民党と民主党の経済政策の違いを財源論だけに求める議論も散見されますが、これは適切ではありません。両者の違いについてわかりやすく整理されている三橋貴明氏のblog記事を3つ、連続で引用します。

なぜわたしが「フローとストック」にこだわっているかというと、この部分にこそ、民主党の景気対策の欠陥が露骨に出ているからです。改めて国家経済のフローとストックについてご説明しますが、要はGDP(フロー)と国家のバランスシート(ストック)のことです。添付の横棒グラフになっているのが、2008年の日本の名目GDPで、表の方が2008年末におけるバランスシートなわけですね。この二つは互いに影響を与え合い、国家経済を成長させていきます。

例えば、すでに実施された定額給付金は、ストック(バランスシート)上の政府の負債を増やし(=国債で資金調達し)、家計に2兆円分給付したわけです。給付されたお金を家計が消費に使うと、フロー(GDP)上の個人消費の部分を増やします。(ここから、乗数効果が始まります。)消費に使われなかった部分は、バランスシートの家計の資産の方に積み上がるわけです。(この辺、消費性向や貯蓄性向により、決まります)あるいは、予定されている公共投資拡大も、バランスシートの政府の負債を増やし(=国債で資金調達し)、GDPの公共投資の部分を増やすことで、フローの成長を狙っているわけです。(この場合も、やはり乗数効果が始まります。)自民党政権の景気対策は、基本的には「ストック⇒フロー」という流れになり、フロー(GDP)を高めることで国家経済を成長させることを意図しています

それに対し民主党の方ですが、同党の景気対策は、基本的に「フロー⇒フロー」になっているところが特徴的です

例えば、子ども手当ての場合、扶養控除などを廃止(=増税する)し、財源を確保した上で、給付されます。家計の扶養控除を廃止すると、可処分所得が減りますので、当然ながらフローの個人消費は減ることになります。あるいは、「公務員や公務員の人件費を削減して、景気対策!」も、フロー上の政府最終消費支出を減らし(公務員の人件費は、GDP上の政府最終消費支出項目)、別のフローを高めようというものです。

要するに、民主党の景気対策は、「ストック」の方をまるで無視しているところが特徴的なのですが、これは恐らく民主党が「日本政府は負債増加で財政破綻する!」なる、日本財政破綻原理主義の人たちと近い立場にあるためだと思うのです。国債金利が1.2%台という異常に低い数値で推移している以上、ストック上の政府の負債を増やし、フローを高めるのが景気対策の王道になります。にも関わらず民主党が「フロー⇒フロー」にこだわるのは、単純に「フローとストック」について理解していないのか、あるいは自民党と無理やりに差別化しようとして、泥沼に嵌まってしまったかのいずれかでしょう。

民主党の「フロー⇒フロー」の景気対策では、現在の日本にとってほとんど何の役にも立ちません。そもそもフローの成長率が高まらないことが問題になっているときに、景気対策を理由にフローを削りとろうとしているわけですから。

続 フロー(GDP)とストック(金融資産) | 新世紀のビッグブラザーへ blog

わざわざフォローする必要もないかと思いますが、念のため。「フローの成長率が高まらない」(またはフローがマイナス成長する)原因は需要不足なので...ということはつまり、デフレスパイラル再びということになります。

現在、09年当初予算に盛り込まれた公共事業7兆4千億円の内、4兆円以上の契約が終了しています。このまま予定通り事業が施行されれば、フローの拡大(乗数効果)が始まるわけですが、民主党は公共事業を大々的に削減するという姿勢を変えていません。

例えば5兆円の公共事業をストップすると、それはそのままGDPのマイナスになります。もちろん、フローの問題だけではなく、事業が中止された結果、雇用は確実に悪化します。要は、失業者が増えるわけです。さらに、その5兆円が「子ども手当て」に回されたとして、それが貯蓄に回ってしまうと、GDPは全く増えません。子ども手当ては減税などと同じ所得移転ですので、配られるだけではフローは拡大せず、あくまで「使われなければ」GDPは増えないのです。

鳩山は党首討論で、成長戦略について、「家計を中心に内需を拡大する」などと言っていました。百歩譲って、子ども手当ては「定額給付金」の一種と思えば、家計の消費拡大に貢献する可能性はないわけではありません。しかし、そのために公共事業などを中止し、雇用不安を煽り、経済の全体のパイ(GDP)を縮小させてしまった場合に、子ども手当てを受け取った人々は、本当に消費拡大に走るでしょうか。むしろ現実は逆でしょう。きちんとGDP全体が拡大していき、人々の雇用が維持され、かつ給与所得が上昇していって、はじめて個人消費の拡大は加速することになるのです。要するに民主党の「成長戦略」とやらは、根本からおかしいのです。

「フロー(GDP)⇒フロー(GDP)」問題 | 新世紀のビッグブラザーへ blog

公共事業の是非を巡っては様々な意見がありますが、公共事業の大幅な削減が地方経済に壊滅的な打撃を与えた原因の1つであったことは事実と言わざるを得ません。格差の拡大を問題視する一方で公共事業の大幅削減を支持する方は多いようですが、ロジックの一貫性について自分で疑問を持つことはないのでしょうか?

さて、民主党の何が嫌かと言えば、↑このような数値データ(引用注:日本国2009年第2四半期(4月-6月期)実質GDP成長率構成)に基づいた「現状」を無視した対策を、「マジで」やろうとしているところです。補正予算を凍結するということは、エコカー減税、エコポイントを停止し、折角拡大しつつある個人消費に水を差します。何らかの代替案が用意されているというならともかく、そんなものは存在せず、あったとしても9月に予算編成して間に合うはずがありません。(予算組み替えの大混乱の中、年が終わるでしょう。)また、日本に「ジパング再来!」をもたらすであろう公共投資、第2四半期からきちんと成果が出ている公共投資を、この期に及んで中止するなど、はっきりいって正気の沙汰じゃありません。

ここは是非、麻生首相始め自民党の面々には、以下のロジックで民主党に問いただして頂きたいと思います。

政府の政策効果で実質GDPが年率換算3.7%の成長になったが、ここで補正予算を凍結し、民主党は一体『何の支出項目』に成長要因を求めるのか。その際に、『幾ら』の予算を政府が投入するべきで、その予算は『どこから』持ってくるのか。もちろん民主党の主張している予算調達方式、すなわち公共投資削減や公務員の人件費削減が、実質GDPをマイナス成長させることは『子どもでも理解できる足し算引き算の世界』だが、民主党はそもそも『GDPとは何か』『景気対策とは何か』について理解しているのか

はっきり言って、ことは自民党を支援する、しないの問題ではなく、「日本経済の成長を継続させるか」、それとも「マイナス成長に舞い戻らせるか」の選択なのです。

続 経済成長とは結局何なのか | 新世紀のビッグブラザーへ blog

余計なお節介だとは思いますが、お子さんやお孫さんをお持ちの方で(雇用や経済情勢の安定に着目して)「子のために(孫のために)良い社会を...」ということを重視するのであれば、民主党に一票を投じるのは自殺行為です。どうしても心情的に自民党に票を入れたくない場合は、「確かな野党」共産党(笑)や国民新党、みんなの党、改革クラブといった他党に票を入れるのがよろしいかと思います。

相模原市のBRT計画で頭を抱える日々、とか

2009年6月 9日(この記事のみ表示

いきなり降って湧いた相模原市のBRT計画(場合によっては弊社立ち退きも)への対応(延べ3回に渡って各種の住民説明会に出席したりパブリックコメントで対抗するために交通政策を勉強したり)とか新年度の講義が始まったりとか大物改訂案件があったりとか家庭内風邪が蔓延して潰れていたりとかしていた関係で、またしても更新が途絶えてしまい申し訳ございません。

とにかく最初に触れたBRT(Bus Rapid Transit)計画が頭の痛い問題で、将来に渡る生活設計・事業設計が脅かされているのが実情です。12mの都市計画道路予定地の影響範囲外に住居を定めたのに、(地元に何の説明もなしに)いきなり「予定ルート決めました」「バス専用道とあわせて(12mの都市計画道路予定地に)30m道路を導入します」「パブリックコメント実施します(パブリックコメント開始日夜に一部自治会への説明がはじめて行われる)」というのは、いくら何でも酷すぎるというか進め方として不誠実すぎるだろうと。ましてや、事業目的と現実認識が乖離している説得力皆無の計画案では、協力する気にもなれないというのが本当のところ。頑張って勉強して、10ページ超のパブリックコメントを出しましたとも、ええ。

とりあえずネット上で(感情的ではない)まとまった反論の例としてはこのページがしっかりしていると思われますので、興味のある方はぜひ一度ご覧くださいませ。内容的に偏っているとはいえテレビ番組で扱われるわ、異例のパブリックコメント再実施にはなるわ、計画に反対する市民団体はできるわで、この問題を巡って現在大騒ぎ。弊社存在地の相模大野駅周辺は地価と利便性のバランスがそこそこ良くお勧めだったのですが、こんな行政では他事業者の方に危なくてお勧めできないですね...。

とまあ、今日明日に方向性が決定されるわけでもない問題に精神的なリソースを割いているのは勿体ないので、目の前の仕事をしっかりやるということで。昨今の経済情勢の影響もあり業務負荷も当面それほどではありませんので、いろいろ研究なども進めていきたいと考えています。また、大学の講義だけでなく企業における教育にももう少しタッチしていきたいですね。マニュアルライティング周辺の教育について実務で悩まれている方のお話など、ぜひお伺いしたいところです。直接仕事に繋がらない話も大歓迎(笑)ですので、お気軽にご連絡いただければ幸いです。

想像力・連想力

2009年2月16日(この記事のみ表示

思考実験をしてみましょう。以下の文章をお読みください。

某メーカーは、これまで長年A社から部品を購入して最終製品を生産していました。しかしA社の部品品質が悪いとクレームを出しているのに品質が良くならないため、購買先をB社に変更しようという話が出てきています。
ここでA社からB社に購買先を変更するためには、上長にどのような材料を揃えて意見具申するべきでしょうか。

まあ良くある光景ですよね。一般的には、以下のような点を分析した材料を揃えることになるでしょうか。

  • 部品に求める品質の判断基準
  • 購買先変更の理由(現状の問題分析、A社では駄目な理由)
  • B社の選定理由(他の購買先との比較検討)
  • 購買先変更に伴って予想される問題と対策
  • その他いろいろ

もちろんその際に、「判断基準自体がおかしいのでは?」「自社の要求が不適切なのでは?」「A社の言い分をきちんと聞いているのか?」「B社の選定理由の根拠が薄弱なのでは?」「移行期間の問題想定が甘いのでは?」などなど各種様々な突っ込みが入る訳ですが、企業活動の現場では良くある話です。その種の突っ込みを無視して「とにかくA社はもうダメです!B社に購買先を変更しないと我が社は終わりです!」とか「一回B社にやらせてみて、ダメならA社に元に戻せば良いでしょう」なんて主張したところで、一笑に付されるのがオチです。それどころか、そのような主張をした人の実務能力が疑われる事態に発展することになるでしょう。これってビジネスパーソンとして当たり前の話ですよね?いやいや、一般的な社会常識としても当たり前の話ですよね?と言い換えましょう。

ところが、それが通用しない世界があるのです。それは何かというと...。

ここまで読んで「弊社(何処)が顧客から契約を打ち切られた意趣返しをしようとしている」と推測された方、大ハズレです。ぶっぶー(ブザー音)

上記の「当たり前」が通用しない話とは、昨今の政権交代を巡る議論なのです(ちょっと考えれば、A社=自民党、B社=民主党というのは容易に推測できますよね)。ビジネスの世界では常識とされる論理的な思考行動が、自分の生活・ビジネスの現場に直接的な影響を与える投票行動に適用されないというのはどうしたことでしょうか?野党の政策を検討した訳でもないのに、政権交代を主張する。これは先の「とにかくA社はもうダメです!B社に購買先を変更しないと我が社は終わりです!」とか「一回B社にやらせてみて、ダメならA社に元に戻せば良いでしょう」とどのように違うのでしょうか?

特に絶望的な気分にさせられるのが、各種世論調査における40〜60歳台男性の民主党支持率の高さです。ビジネスの現場で意志決定を担っている立場の方が多いはずであるにも関わらず、この醜態はいったい何なのかと。逆に考えれば、(先のサブプライム問題をきっかけにした経済危機を除いても)日本経済がイマイチだというのは、この種の人達がマネジメント層に多いからだということも言えるのかもしれません。ビジネスパーソンとしての自分、生活者としての自分、有権者としての自分、それらを別々のものとして考えているからこのようなことになるのです。有権者としての自分の意志決定は他二者に影響しますし、他の面についても同様です。

結局のところ、すべては相互に関連している、という想像力・連想力が欠落しているのが一番の問題という訳で...(例:自動車生産現場の労働者を安価で雇用して、自動車の販売台数が増えないと嘆く)。先の「ダメなら元に...」思考など、どういう訳か自分だけは相互の関連から除外されているという都合の良い前提(自分は「ダメなら」の影響を受けない)に立っていて、頭が痛いです。もっと酷い人になると、「ここらで一度リセットが必要!」と言い出すのですが、リセットに伴う社会混乱から自分は除外されていると考えられる、そのお目出度い想像力がス・テ・キ

とりあえず麻生総理に対して「政策に期待が持てない」と主張する人は、マスコミの報道ではなく首相官邸のWebサイトなどを定期的にチェックして麻生内閣の仕事ぶりを確認した上で、具体的にどの政策がどう不満なのか、自分の中で問い直していただきたいですね。
二次補正予算を昨年に提出しなかったのは民主党の審議拒否戦術で廃案になる可能性が非常に高かった(臨時国会で衆院可決→参院で店晒しで時間切れ&継続審議扱い→通常国会で先議権がある参院で野党が否決→一事不再議により、通常国会で与党は二次補正予算案を提出できず)ことが理由であることもロクに報道されていませんし、枝葉末節の揚げ足取りや切り貼り報道が酷すぎます。経済政策も対応が速く適切であるにも関わらず、野党の審議拒否が理由で発動が遅れているのが実情です。立法措置(国会審議)が不要なものは、どんどん実行されています(上場企業の自社株取得規制の緩和や一部の雇用不安対策など)。
また二次補正予算については、定額給付金を切り離したところで野党は別の論点で審議拒否・遅滞戦術を繰り出すだけです。彼らの目的は衆院解散・総選挙だけであり、景気対策はどうでも良いのです。国内のマスコミ報道ばかり見ていると、接触時間に比例して馬鹿になりますよ

さて時節柄生々しい政治話を例に挙げましたが、この種の話は情報設計という行為にも他人事ではないのです。情報設計においてよくある?問題として、地に足の付いていないビジネス書的な格好良い概念論で方針決定・実装を行ってしまい、実際の生活者の視点が抜けてしまうというものがあります。これも想像力・連想力の欠落であり、ユーザーや対象情報、コンテクストに対する想像力や連想力がもっとも求められる職能にとって、非常に恥ずべきことです

できるだけたくさんの視点を持ち、それぞれの視点から相互に現象・事物を分析できるようになりたいものです。と、ここまで書きながら顔が恥ずかしさで真っ赤になって、だんだんと俯き加減になっていることは秘密です...。もっともっと精進しなければなりません(汗)

日々の雑記 090119

2009年1月19日(この記事のみ表示

いまさらで申し訳ございませんが、本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年春(というか一昨年秋)から続く業務多忙がようやく一段落して、ようやく平常に戻りつつあります。ご時世的にこのまま平穏が続くということも考えられる訳ですが、そうはならないよう祈りたいものです。まあ、平穏な間に新しいアイディアを検討したりとそれなりにプランは考えていますので、そうなったらそうなったときということで。

本年初頭の所感として、何点か思うところを。

  • ユーザー中心価値が試される
    今年はユーザー体験をはじめとする、ユーザー中心価値の本当の価値が試される年になると思います。十数年前のバブル崩壊→超絶円高→金融危機→失われた十年のコンボの最中に、メーカーの利益に直接寄与しない品質がどのように扱われたのか、もうお忘れではありませんよね?コストセンター側に分類されたマニュアルがどのような目に遭ったのか、思い出すだけで涙があふれてきます(棒読み)。
    ユーザー中心価値という価値基準は、まだ不況の洗礼を受けていません。単なる販売促進上の謳い文句として捉えられているのか、あるべき開発プロセスとして組み込まれているのか。この不況をくぐり抜けることができれば、製品/サービスにおける本質的な価値の一つとして、正式に認知されたということになります。またある意味では、我々消費者も試されていることも忘れてはなりません。
  • マスメディアが試される
    大手メディアが経営的に成り立たなくなるのでは?という問題以外に、毎日新聞問題に代表されるように、メディアの根幹たるコンテンツの信頼性にも、幅広い層から疑問符が突きつけらています。あれだけ偏向しているにも関わらず、受動的にTVニュースを受け入れ続けている人は、「何か雰囲気がおかしい」とは思っても、雰囲気に流される傾向があるようです。
    メディアリテラシーについては「大本営発表に騙されるな」という話が必ず取り上げられますが、逆に政府が進めている政策がほとんど伝えられない/切り貼りして逆の方向で伝えられるという、逆方向の大本営発表がまかり通っているのが実情です。マスメディアの最大の武器は、「都合の悪いことは報道しない」であることに注意が必要です。
  • 日本国民の良識が試される
    いつ解散するのかはともかくとして、今年は衆議院選挙があります。マスメディアが試されるだけでなく、日本国民の良識が試されることになります。「報道されていないから」を理由として根拠のない与党叩きに乗るのか、それとも自分から情報を集めて両者を冷静に比較検討して投票行動するのか、その点を見守っていきたいと思っています。なお、現在の野党の政策センスの欠落、責任感・誠実さの欠如、法治主義・民主主義の軽視といった現状行動を踏まえると、現在の国際政治経済情勢下における政権交代は我が国に致命傷を与えかねないと判断しています。衆院選が近づいた段階で、彼らの実績を踏まえた具体的な問題をご説明することになるでしょう。
  • ちなみに話題の定額給付金ですが、私は賛成です。理由としては、1.今回の経済危機は金融政策では対応できず、財政出動が不可避である、2.急激な需要減に対応するために需要を創出する必要がある、3.即効性が高く広範囲の需要を喚起する政策が必要である、の3点です。野党代替案では上記3を満たすことができず、この点に対する代替案を用意しない限り「緊急の需要刺激策は不要だ」と主張していることに等しいことに注意が必要です。それから政府の進める景気対策は定額給付金だけではありませんし(75兆円のうちの2兆円です)、社会保障費用増大に対応するための消費税増税とは財源が別で、関係ありません。ネット上に昨年の平成20年度1次補正予算から2次補正予算、平成21年度本予算における対策(と規模)をまとめた資料官邸がまとめた概要資料(PDF)がありますので、ぜひ一度ご覧頂きたいところです。

まあそんなこんなで、本年こそ適切な更新頻度を維持すべく努力したいと思います...。

完全に沈没しています

2008年6月 3日(この記事のみ表示

昨年秋以降の業務多忙が本格化/悪化しつつ継続中です...。

  • いちおう生きております。お客様にご迷惑をおかけしつつも、業務も何とか継続中です。
  • 今年のTCシンポジウムは出し物をする側に回ってしまいました。近日中にネタ(何)をご案内できるかと思います。
  • 通常状態への復帰には、あと1ヶ月ほどお待ちください...。

マスメディアによる扇動を機能させないために

2007年8月 1日(この記事のみ表示

この国には「公然の場所で政治の話は避ける」という習慣があるので、このコーナーでも政治の話は避けるようにしていたのですが、さすがに黙ってはいられない状況になってきたと感じます。

参院選前からの一連の扇動報道に対して呆れている人はそれなりに多くて、選挙結果もそれほど極端なことにはならないのではないかと楽観視していたんですが、印象操作に乗る人の多さに愕然としました。 本当にマスメディアの天下で、まさにやり放題ですね。ネットに押されているかもと怯えていた彼らも、自分たちの力に自信を持ったことでしょう。今になって民主党の方向性や政策案にとってつけたような注文をつけてバランス取っているように見せかけていますが、そういうことは選挙前からやるべきです。

さて、今回の参院選の争点となったのは以下のようなことでしょうか。

  • 失言問題
  • 政治とカネ
  • 年金問題
  • 政治姿勢
  • 憲法改正
  • 増税

それぞれについて、以下のような投票判断に影響を与える可能性のある側面がまったく(またはほとんど)報道されていませんね。

  • 失言問題:
    与党関係者の発言を切り貼りして失言としてでっち上げて、野党関係者のトンデモ発言は一切黙殺する。
  • 政治とカネ:
    法的にまったく問題ない(外相のコメント)ことを、曖昧な道義的責任とかいう変な代物を持ち出して印象操作する。しっかり説明しているのに、説明不足だと追い込む。領収書の重複という単なる事務ミスを、不正経理扱いで印象操作する(経費の架空計上するんなら、こんな稚拙な方法取らないでしょ?)。
    以前の文科相のときと基本的には同じ話なのに、相手が弱いと見ればネチネチとつけ回す。それにしても前任者といい、どうして農水相だけがしつこく狙われるんでしょうね。現政権の農業政策で不利益を感じる人達の素性と支持団体が気になりますね←印象操作してみた(笑)
    政治家の活動費は国税から支出している面もあるのである程度の透明性は求められますが、政治活動の自由という面から全面公開は不適当な面もあるでしょうし、バランスが難しいと感じます。
  • 年金問題:
    年金の制度設計の問題と、社会保険庁職員のサボタージュによる所謂「消えた年金」の問題は分けて考えるべきなのに、曖昧にして報道する。だから民主党の比例区トップ当選者が社保庁問題と関連の深い自治労出身者という、年金問題を争点に民主党に投票した有権者を馬鹿にするような事態が発生する訳です。それに民主党の年金制度案の酷さ(所得によるカットや自営業者が支払う年金の大幅増、そもそも移行に40年かかることなど)については、まともに報道されてませんよね。
  • 政治姿勢:
    数の横暴ということが良く言われてましたが、野党が選挙目当てでまともな審議を拒否してる以上どうすれば?反対していたら採決せずにすべて傍観するか、それとも野党案を丸飲みせよとでも?(そういえば民主党案を丸飲みして提案したら、民主党に拒否されたこともあったらしいですね)。年金問題で自党提案を盛り込ませる努力をした共産党が逆に議席を減らすなど、馬鹿らしくてお話になりません。民主党に改革姿勢を求めるのも結構ですが、民主党の執行部の構成がこういう状況であることも報道されていません。
    それにどのような法案を通して、それによって世の中がどう変わるのか?何が解決されるのか/解決されないのか?という冷静な政権評価もまったくありませんでしたね。
  • 憲法改正:
    いわゆる戦後レジーム解消の問題とあわせて、現政権の狙いが何であるか、その周辺事情としてどのような問題があるのかをまったく報道していませんね。それとも解消されると既存のマスメディアに困ることでもあるのですかね(謎)
    極東有事の危険性など、そろそろきちんと報道しておくべきだと思うのですが。戦前のマスメディアって(逆の方向で)こうだったんだろうなあ、本質的にまったく変わってないんだなあと思うことしきりです。
  • 増税:
    「地方の要求による」財源移行ということで地方税増は所得税減とセットなのに、きちんと報道しない(そもそも住民税増に文句言ってる人達は市議選や県議選、首長選でちゃんと投票してるんでしょうか)。定率減税が引き下げになったことは確かに増税に間違いありませんが、民主党の財源案に扶養控除と配偶者控除のカット(=所得税増)が堂々と盛り込まれていることは報道しない(笑)
    それに消費税についても首相は「消費税の議論から逃げない」と言ったのに、いつの間にか「消費税増から逃げない」と編集されている。個人的には編集権の範囲を逸脱していると思うんですけどね。

もちろんこういったことをわかっていて、それでも民主党を支持するという選択をする分には問題ありません。人それぞれ政治的信条や投票の理由が違うのは当然ですから。

問題はマスメディアに煽られて、「お灸を据える」と息巻いていたような人達です。前述の側面などは、ネット上で政治問題を取り上げている場所に行けば、自然と入ってくる情報です。最近のネットの普及率にも関わらずこうした情報が広まらないのは何故なのか?を考えると、やはり冒頭の「政治の話は避ける」という習慣だと思うのです。でもこのままではマスメディアのやりたい放題が増すばかりです。「ネットの力」という漠然としたイメージを過信せずに、政治的な話題に関しても自分の考えること・知ったこと・判断の理由を(時々は)公開して議論するという態度が必要なのかもしれません。マーケティングで話題のWOM(Word of Mouth、クチコミ)ではありませんが、政治についてもCGMを意識するべき時勢なのでしょう。

ということで、マニュアルや情報デザイン系の話にこういう話がときどき紛れ込むかもしれませんが、大目に見て頂ければ幸いです。

マニュアル制作の仕事、それ以外の仕事

2007年5月21日(この記事のみ表示

早くも月刊化を回避するので精一杯の有様です(汗)

講義期間はそっちで使用するネタを考えるのに頭が回ってしまい、どうしてもblogの更新が途絶えがちになりますね...。突っ込みネタとかをやると簡単なんでしょうけど、どうしてもネガティブ方向に振れがちになりますからね。マニュアル制作に関する講義で何を教えるべきか?という講義関連の話題については、そのうち考察記事をしっかり起こして問題意識の共有などできればと考えています。

  • 通常業務の方もしっかり営業中です。今ホットなのは、今月終了予定の「事務作業のほにゃらら(何)研究」でしょうか。とかこういう風にマニュアル制作以外の話題を多く取り上げていることもあり、弊社の本業がマニュアル制作であることが忘れられがちのようです。「最近マニュアル関係の仕事はやられていないのですか?」と質問されてしまうのは、いくら自業自得気味とは言えいかがなものかと。
  • ちなみに弊社の売上げに占めるマニュアル制作以外の仕事の比率は、2006年度実積ですと5%程度です。全然大したことありません(笑)ちなみに2005年はシステム開発関連の業務支援が入っていたこともあり、40%程度がマニュアル制作以外になります。まあそれでも半分以下ですし、本業はマニュアル制作関連業務ということでよろしくお願いいたします。
  • 経営者の立場としては、マニュアル制作の仕事とそれ以外の仕事の両輪をうまく回していきたいなと考えています。マニュアル制作の視点を活かして別の領域の問題を解決する、別の領域のモノの見方をマニュアル制作にフィードバックする、というお客様に貢献できるループをうまく作っていきたいということです。そういう意味で、脱マニュアル制作を図っているように思われるのは非常に心外です。そもそもマニュアル制作という業務が、脱出すべき対象と捉えられているのが気に入らない(笑)結構面白い業務だと思うんですけどね。
  • 某掲示板経由で「【大変だ!】レクサスの取説書1097ページ」という記事を発見。最近の自動車は電子デバイス+ソフトウェアの塊ですから、ある意味仕方がないのかもしれません。オーディオとナビ、画面に表示される各種情報絡みだけで数百ページは軽いでしょう。(別車種ですが)数年前仕事で自動車のマニュアルの内容を確認したことがありましたが、ある程度は仕方がないのかなあと(もちろん改善ポイントはいろいろありますが、ね)。
  • ただレクサスの最上級モデルでしょうから、単一グレード/仕様ごとに製本しているかどうかは気になります。現状の自動車のマニュアルが煩雑なのは、複数グレード/仕様を同一車種という括りで無理矢理合冊にしているところにも原因の一端があるように思えますし。表紙や製本の豪華さだけでなく、こういう部分での細やかさまで配慮できているかどうかに注目です。

というわけで、今度はあまり更新頻度が空かないように努力いたします...。

日々の雑記 070411

2007年4月11日(この記事のみ表示

更新間隔が空いてしまい、申し訳ありません。

更新が止まってしまうほど多忙で身動きが取れないということではまったくなく、安らかな日々を送っております。ただやはり記事を起こそうとするとそれなりに考えをまとめる必要があったりするわけで、下手なことは書けないという重圧感があります。で、更新頻度下がる→余計にプレッシャーかかる→会う人会う人に「最近お忙しいみたいなので...」と言われる、という悪循環に陥っております(笑)

この状況を改善するために「日々の雑記」というカテゴリを起こして、もう少しお気楽に日頃考えていることや思いついたことを書くようにしてみます。いやもちろんこれまで書いてきたことも「お気楽に日頃考えていることや思いついたこと」レベルではあるんですけど、気持ちの問題ということで。

  • 週刊ダイヤモンド3/31号の「リッツ・カールトン」特集はご覧になりましたでしょうか。CS(顧客満足)やUX(ユーザー体験)絡みに興味をお持ちの方には、必見の内容だったのではないかと思います。バックナンバーを常備している書店もあるでしょうから、未読の方は是非。CS絡みについては最近思うところもありますので、そのうちちゃんと記事として起こす予定です。
  • 今年度も専修大学ネットワーク情報学部で非常勤講師をさせて頂きます(今年度から担当講義は「マニュアルライティング」になります)。次年度もあるようでしたら、どんなことやっているのか?とか学生の反応はどうか?とか、TCシンポジウムで発表してみるのも良いかもしれません。需要があるかどうかは激しく疑問ですが...。
  • J-SOX(日本版SOX法)や内部統制絡みで、業務の文書化や潜在リスク検出の重要性という話が盛り上がっているようですが、マニュアル制作業界ではまったく話題になっていないようです。こういう話が出た時にすぐに自分たちの問題だと反応する感度とか、業務分析にお呼びがかかるような存在感とか、全体的に不足気味ですねえ。

とまあ、こういう感じで更新頻度を維持したいと思う次第であります。そもそも「情報大工のひとりごと」をblog化したのも同じような目的だったような気がしますが、なかなかうまくいかないものですね。

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