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情報大工のひとりごと

読者の声(4)



OEM製品のマニュアルは?(前編)____見出し罫線____

OEM製品のマニュアルで苦労されているかたからメールを頂きました。話が大きいので、前編と後編に分けてお送りします。

OEM先とOEM元との担当者で意見が食い違い、現場で苦労することがよくあります。特に困るのが、OEM先の担当者がマニュアルについて無理解で、あとから自分の好みを「ユーザーのため」と称して押しつけてくる場合です。OEM元の担当者も「おかしい」とは思うようなのですが、相手はお客様なので強く出られないようなのです。

ご苦労さまです(苦笑)。
でもこれは、OEM製品だけの問題ではないことも多いように思えます。実際の制作を外注している場合の発注元(メーカー)と実制作担当(制作会社)でも同じようなことがよくあります(制作会社側でどんなに気を使って制作したところで、メーカー側の担当者が適性に欠けていたら一巻の終わり、という訳です)。
こういう人の困るところは、構成/文章の趣旨を論理的に説明してもまったく理解できないところです。感情的になっているのか、文句を言うことで自分が仕事をしている気になっているのかどうか知りませんが、とにかく聞く耳持たずの状態なので、かなりタチが悪いです。そのうえ自分は明確なビジョンを何も持っていないのですから、全く救いようがありません。
「じっくり説明すれば、良いものは必ずわかってもらえる」と綺麗ごとで済むのであればそれに越したことはありませんが、現実はそんなに甘くありません(笑)。そうかといって「そんなに文句ばかり言うのなら、最初から自分達で制作すれば?」と逆ギレしても何も解決しないのは言うまでもないことです。

外注するのであれば、自分たちの期待する最終イメージを明確にしてからしっかり伝達し、その上でプロに任せるくらいのつもりでやって欲しいです。制作側もプロとして、その信頼に応えるだけのアウトプットを出さなければなりません。
. . . というわけで、ここまでに関しては基本的にコミュニケーションに依存する問題であって、特にOEM製品という特質に依存する問題ではなさそうです。 (2000.02.14)




OEM製品のマニュアルは?(後編)____見出し罫線____

前回に引き続き、OEM製品のマニュアルについてのご意見を紹介します。

(前回から続く)このような問題を解決するには、OEM元にまかせてOEM先は基本的に口出しはしないようにするか、OEM先がOEM元に取材して自力で制作するか、のいずれかの方法しかないように思えます。
前者の方法は売る側(OEM先)の意志を反映しにくいという欠点があり、逆に後者はユーザーに対して責任を負うべき自分たちの方針/スタンスを伝えやすいという長所を持っている以上、後者を採用すべきではないかと考えます。

これはどういう形態でOEMするかによっても異なってくるので、どの方法がベストであるかは一概には言えないでしょう。
やはりコストを削減するためにOEMするのであって、そういう意味ではマニュアル制作人員などの間接部門をOEM先の社内で持つ必要がないことも、コスト上のメリットとして含まれるわけです。もちろん浮いたコストの一部はユーザーに還元されるわけで、その意味では前者の制作体制が一概に問題であるということにはならないと思います。
ユーザーにとっては安価に製品を入手でき、よりわかりやすいマニュアルを手に入れられれば良いだけですから、そこを中心に考えずに制作現場の理屈だけを持ってきてしまうと、話があるべき姿からずれてきてしまいます。

まあ「マニュアル制作スタッフを社内で抱えていない=評価できる人材が社内にいない」ということですので、制作会社などのプロの意見は素直に聞くというのが、本来のアウトソーシングの考え方ではあると思うのですが、これも難しいところですよね(自社でプロのスタッフを揃えられないのであれば、アウトソーシングした方が、ユーザー/メーカー双方が幸せになれるのですが)。
本来はOEM先がどうしても譲れない基準(コーポレートデザイン、会社としての統一感や文体、自社ユーザーにあわせた説明)だけをあらかじめ提示して、あとはOEM元と制作会社にまかせるというのがあるべき姿かと考えますが、いかがでしょうか?
結局これもコミュニケーションの問題に還元されてしまうようですね(苦笑)。 (2000.02.21)




組織の力点を移したい____見出し罫線____

メーカーのマニュアル制作部門に在籍されているかたから、こんなメールを頂きました。

時代の流れもあり、組織の力点をユーザーインターフェースの分野に移すことを検討しています。しかしこの分野も、デザイン、ソフト設計、商品企画といった強力なライバル部門が控えています。マニュアル部門ならではの強みは、どう発揮していけば良いものでしょうか?

「危機感だけはあるけれども、既存のしがらみで身動きが取れない」といった部門の話もよく聞きますが、考えているところは考えているのですね(笑)。
さて、「ユーザーにどの情報をいつどれだけ提供すればよいのか」という問題を一番身近に感じているのは、やはりマニュアル制作に関係する部門ではないかと思います。
したがって、求められる表記文面やビジュアルデザイン、マーケティング的に要請される機能デザインといった個々の機能論で勝負するのではなく、インターフェース全体としての情報の配分や提供手法という面でイニシアチブを発揮するべきでしょう。一言でまとめると商品に関係する操作情報全体のデザインということになるでしょうか。

もちろん既存の業務や発想にとらわれていると、このような業務を行うことはできません。日々のマニュアル制作で発揮しているスキルの本質は何かということを見つめ直し、時代が要求する新分野にゼロベースで再展開するくらいの決意が必要となります。
それでもしっかりやっていけば、必ず各部門からの信頼を勝ち得ることはできるかと思います。ぜひ頑張っていただきたいものです。(2000.05.29)



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