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情報大工のひとりごと

雑感いろいろ(書庫)(4)






説明責任って何なのさ____見出し罫線____

ここ1〜2年、アカウンタビリティ(Accountability、説明責任)という言葉が数多く出回るようになりました。しかし、相変わらずこの概念を理解できないと思われる人や組織(例:某官房長官、某サッカー協会)も数多く存在するのは皆さんご存じの通りで、「何故にそうなる?(絶句)」という意志決定が日本中で行われていることには、それほど変わりがないようです。
ところで、「何で説明しなければいけないの?」という説明責任の「せ」の字にも縁のない論外な人は置いておくことにしても、「要するに説明すればいいんでしょう?」と単純に思いこんでいる人が多いことに驚かされます。

こういった方々は「説明するとは、論理的な説明によって相手を納得させることを意味する」という、アカウンタビリティという言葉の根本にある思想を理解できていないのです。あちこちで見かけるような、説明と称した単なる自分の意思表明や感想の垂れ流しは、説明して納得してもらうという、説明責任本来の意味の対極にあります。
所詮は言葉だけの輸入で概念が伴っていないと言えばそれまでなのですが、もっと論理性を重視した教育がなされ、社会的にも論理に基づいた決定が重視されるようにならないと、様々なレベルにおける意志決定の質の向上はあり得ません。ということはすなわち、社会全体の公平性、公開性もそれほど上がらないということにつながります。

説明責任は別に政策判断や経営意志の決定といった、高度な話だけに限ったものでないことは言うまでもありません。あなたのそばにいるディレクターやライター、デザイナーは、担当するマニュアルやWebサイトの構成・デザインの根拠について、きちんと説明できそうですか?(にやり) (2000.05.01)




こういった垂れ流し、減らないですねえ____見出し罫線____

最近ふとしたことで「やっぱりこいつは究極の娯楽マシン? 説明書に見るプレステ2のエンタテインメント度」という記事を見つけたのですが、読んでゲンナリ。プレイステーション2の取扱説明書にあるPL(Product Liability)注意文をからかったものなんですが、レベル低すぎというか、つまんないです。
こういった批評というか感想の垂れ流し、本当に減らないですねえ。

確かに世の中に出回っているPL法対策のための注意文には「ネタですか?」というようなものが多いですし、「水をどんどんかけろ」とか「大声で応援の人を呼べ」などといった対策が気になることもわかります。でも、わざわざ記事(コラム)にして取り上げるほどのことなんでしょうか?
それ以外に取り上げている、本体の設置のしかたやDUAL SHOCKの取り扱いにかかわる注意文はいたってまじめで、本当に怪我や家財の損害などにつながりかねないものなんです。
まあ最後の『最後に、私が考えた注意書きをひとつ…「他のゲーム機用ソフトを入れない」』というところを読めば、この著者がPL法について何も理解していないことがわかるんですけれどもね。もちろんその理由は、他のゲーム機のソフトを入れただけでは、人身や家財に危害を及ぼす可能性が考えられないからです。「本機で使えるディスクについて」という注意文には含まれるかもしれませんが、PL注意文に入れる必要はまったくありません。

何かマニュアルを馬鹿にすることで、自分がお利口さんになったような気がしている人や組織が多すぎて困ります。マスコミや一般のライターと呼ばれる人達には、マニュアルを馬鹿にする前になぜその注意文がそこにあるのか?、なぜこの文章がマニュアルに載っているのか?、ということを考えるくらいの習慣を身につけて欲しいものです。
PL法の注意文にケチをつけるなら、どうして小学生や中学生が購入しそうな製品のマニュアルの文章が他の製品と同じままなのか? ルビを振っても意味が分からないんじゃ、どうしようもないのでは?といった方向から切り込んで欲しい所なんですがね。 (2000.05.15)




紙マニュアルはなくならない − だから何?____見出し罫線____

電子マニュアルの領域が爆発的に拡大しつつある今日この頃ですが、昔からのマニュアル制作者の中には、紙マニュアルの存在意義にしがみついているかたがまだまだ多いようです。もちろん紙マニュアルならではの機能が失われることはないでしょうし、メディアに最適化した情報提供という面からも、今後も紙マニュアルの質の改善は続くでしょう。
ですが、「紙マニュアルはなくならない」と力説しているマニュアル制作者には、単に電子マニュアルにアレルギーを持っているだけの人が多いような気もします(特に自称「ライター」に多い)。こんな人は皆様の周りにいませんか?

  • 紙マニュアル制作のベテランだ
  • でも、電子マニュアル制作に手を着けようとしない
  • おまけに、電子マニュアルの性質を正しく見ようともしない
  • だから、メディア特性を無視したものを企画/制作する

結局こうした人は、利用できるメディアを最大限に活用して、ユーザーに効果的に情報を提供するにはどうすれば良いかという、現在の最大の問題に目を背けているに過ぎません。今まで紙マニュアルの領域で築き上げた自分の世界を壊されるのがイヤで、自分の世界に引きこもっているというわけです。
そりゃ引きこもってれば楽でしょうけれども、こんな人達にプロのマニュアル制作者を名乗って欲しくはないですよね。業界にとっても、ユーザーにとっても不幸な状況と言えるでしょう。 (2000.08.24)



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