1996年9月15日
コンピューターソフトで大流行のオンラインヘルプですが、ユーザーにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
今回は具体的なメリット/デメリットを考えるまえに、オンラインヘルプが登場してきた背景について考えてみましょう。
現在のオンラインヘルプの隆盛には、以下の4つの理由があると思います。
取説の種類・厚さにもよりますが、紙取説を印刷するよりもCD-ROMを焼いた方が安いといわれています。特にメーカー側が「どうせ読んでくれないし、形だけでも付けなければならないのなら安いに越したことはない。」と思っているのが露骨に見えてしまう商品もあります。
DTP技術が進歩してダイレクト刷版(CTP)まできたといっても、取説作成者から設計者にわたって確認後に印刷会社へ、というよりは、最後に設計者が少し手を加えられるCD-ROMなどの方が、メーカー側にとって魅力的に思えてしまうこともあるでしょう。
ようやく、「ユーザーに」メリットがある話になりました。分厚い紙取説をぱらぱらめくるよりも、リンクの張り巡らされたHyper-Textを読む方が、理解も早いというものです。
ただ、ここに落とし穴があります。分厚い紙取説もできの良いものであれば検索性は悪くありません。同様にHyper-Textであっても、できの悪いオンラインヘルプしかないのでは、ユーザーは欲しい情報を全然手に入れることはできないのです。
最近、コンピューターを生産しているメーカーが紙取説を見直そうとしている理由の一つでもあります。何冊も取説が入っていると、紙の消費量は莫大なものになります。オンラインヘルプという、紙の消費を抑える手段があるのであれば、使って見る価値はあるというものです。もっとも、オンラインヘルプを見るために消費する電力と比較して、どちらが地球に優しいか検討した、という話は当研究所では耳にしたことがありません。
ただこれだけははっきり言えることなのですが、紙取説を減らすと商品の梱包が小さく・軽くなります。こういうところでも環境に貢献していることは間違いありません。