1996年11月22日
一般的に、構成意図がはっきりしている取説は、わからないことがあったとしても、その項目を探しやすいといえるのではないでしょうか?
今回は「わかりやすい見出しの付けかた」とは別の、マニュアルの構成の組み方について考えてみましょう。
例えば、ビデオを例にとってみましょう。次の順序で、説明の項目並んでいるマニュアルがあったとします(A)。
こんな順序で並ばれていたら、わからないことがあったときに、うまく探せるでしょうか?
では、これはどうでしょう(B)。
まだ何となくわかるような気がしませんか?
(A)と(B)で何が違うのでしょう?それは、構成に明確な意図が感じられるかどうかという点だと思います。上で挙げた例は極端すぎると言う意見もあるかと思いますが、例というのは何事も極端な方がわかりやすいもので. . . 。
意図が感じられるマニュアルは、ユーザーの検索効率を影ながら上昇させます。「このマニュアルは、こういう内容だったらこのへんに入っているはずだ」という風に、ユーザーから進んで正しいところを読んでもらえるわけです(例えば(B)の例では準備→再生→録画→その他になっています)。
この効果はマニュアルが分厚くなればなるほど、冊数が増えれば増えるほど増大します。索引の多少の不備くらいは補ってもらえるくらいの効果はあると考えます。ただ、これもユーザーに意図を感じとってもらえるような工夫を、最大限に行った場合の話であることは言うまでもありません。
また、意図は目次の構成だけに反映するわけではありません。マニュアル全体の意図を明確にすることによって、複数のマニュアルのどれにどの情報が入っているのか、紙のマニュアルとオンラインヘルプのどちらにどの情報が入っているのかを、多少はユーザーに感じとってもらえるはずです。
コストダウンの影響で同じ情報は重複させないというのが流行ですので(苦笑)、最初から目的の情報が載っているものにアクセスしてもらえるということは、ユーザーの使用感を上げる働きをすることでしょう。逆にこういうところでつまずくと、製品自体は良い出来であるのに、「この機械(ソフト)、出来はいいんだけどいまいち好きになれないんだよな」といわれてしまうものです。
「どのマニュアルにどの情報が載っているかが掲載されているマニュアル」をつくる前に、明確な意図を持ったわかりやすい、冊数の少ないマニュアルこそがユーザーを幸せにすると考えますが、いかがでしょうか。