1996年12月1日
最近発売されたNECのパソコンに『これならわかる パソコンが動く』というマニュアルが付属しているのですが、これは直木賞作家の海老沢泰久氏の書いたマニュアルということで、新聞の書評欄にも取り上げられました。
新聞の書評欄にマニュアルが取り上げられるなんて、こんなことは前代未聞です。
まだ実物を入手していないので、詳しい考察は入手してからにさせていただきたいのですが、書評と巷の噂によると、以下のようなコンセプトで作られているようです。
縦書きという文字組みと、専門用語は使わないというポリシーは、密接な関係にあるような気がします。パソコン用語は横文字が多く、一般的にいえば「縦組みにするなど言語道断」となるのでしょう。理系の教科書はみんな横組みですし. . . 。読みやすいのでしょうか?ああ、早く読んでみたい。
しかし、専門用語は使わないというコンセプトは、いろいろ問題を抱えていると思います。
パソコンが急速に一般ユーザーに普及してきたとはいえ、用語レベルでいえば一般的になってきたとはとても言えません。だからといって専門用語を使わないで説明すると、後になってユーザーに迷惑をかけるのではないか、という懸念も捨て切れません。つまり、「ハードディスクというものがあるらしいが、今持ってるパソコンに使えるのか?」という疑問を持ったときに、マニュアルがちゃんと答えてくれないようでは困ると思うのです。ユーザーが用語に歩み寄るのではなく、用語がユーザーレベルに合わせられてしかるべきだという議論も当然成立するものですが、ここでの議論とは次元の違う話ですし、現状のパソコンを見ていると、それも困難ではないかと思います。
とにかく使えるようにするために内容を割り切るとは、「なかなか思い切ったことをするもんだ」と驚嘆しています。というか、よくメーカー側が許可したな、という気がします。(マニュアルを作る側としては割り切りたいんですけども. . . )。
通常、メーカーは「一応使える機能はすべて書いておかねば」「考えられる場合分けにはすべて対処しておかねば」と考えるものなのですが. . . 。たぶん、このマニュアル以外にもきっと、「ふつう」のマニュアルがついているのでしょう。
また、ユーザーレベルの低下とユーザー数の増加のために、「すべて説明しなければ」と言っている場合ではなくなってきたのではないかとも考えられます。(サポート部門の方々のご苦労は察してあまりあります. . . 合掌。)
まあ推測はここまでにします。とにかく現物を出来るだけ早く入手して、皆様に内容をご報告したいと思います。