マニュアルやWebサイトを見てみると、情報そのものはわかりやすく表現されているのに、探している情報がどこにあるのかがわからない、といったことが多くありませんか?
このような場合には、情報の構成のしかたに問題がある例が多いのです。今回はこの辺のテーマについて考えてみたいと思います(以前のバージョンでは構成に構成意図があるかどうかだけの面しか取り上げていなかったこともあり、もうすこし幅広い面から再検討してみたいと思います。[2000.12.18改訂](以前のバージョンは、こちらです)
構成を考えるにあたって、最も重要なものがこの考えかたです。「情報提供者は一体何を考えているんだ?」ということでよく槍玉に挙げられる例として、次のようなものがあります。
これらの例に共通しているのは、情報提供者側の論理で情報が構成されていて、実際のユーザーの論理が無視されているということです。結局こうした例では、マニュアルやWebサイトなどの情報提供システムを効率よく運用することに注意を払いすぎていて、本当は何よりも大切であるはずの現実のユーザーの姿を見失ってしまっているのです。
確かにユーザーの視点で情報を構成して提供するには、いろいろと煩雑な手間が生じることも事実です。逆に言うと、ユーザーの視点を大切にした情報提供を行うためには、部署を横断した取り組みが必要とされることを意味するのかもしれません。または組織自体をユーザーの視点に立った形に組み替えるか、ですね。
さて、ユーザーの視点で情報を構成するだけでなく、まとめた情報をどういう順序で展開するのかも重要です。これはつまり情報の展開意図を明確にすることで情報提供側の意図をユーザーにうまいこと伝達し、情報の探しやすさを改善しよようということです。
例えば、ビデオを例にとってみましょう。次の順序で、説明の項目並んでいるマニュアルがあったとします(A)。
こんな順序で並ばれていたら、わからないことがあったときに、うまく探せそうですか? それでは、こちらはどうでしょう(B)。
まだ何となくわかるような気がしませんか?
それでは(A)と(B)の間の違いとは何でしょう? それは、情報の展開順序に明確な意図があるか、またその展開順序がユーザーの頭の中にある概念モデルと一致するかどうかにあります(この例は極端すぎるかもしれませんが、例というのは何事も極端な方がわかりやすいものですので)。
この両者を正しく押さえて情報提供を行えば、ユーザーの検索効率を影ながら上昇させることも可能です。「こういう内容だったらこのへんに入っているはずだ」という風に、ユーザーから進んで正しいところを読んでもらえるわけです(例えば(B)の例では準備→再生→録画→その他、というユーザーの操作の流れに沿って情報を構成しています)。
この効果は提供する情報の量が増えれば増えるほど増大します。索引やナビゲーションシステムの多少の不備を補ってあまりあるくらいの効果はあるのではないでしょうか。ただ、これもユーザーに意図を感じとってもらえるような工夫を、最大限に行った場合の話であることは言うまでもありません。
いかがでしたか?
情報の構成に当たっては、「どのような情報をどういう基準でまとめるのか」そして「まとめた情報をどのように展開するのか」 が重要になります。今回の発表で、これらの基本的な部分は押さえられたかと思うのですが、皆様の参考になりましたでしょうか。
実際の作業時には、展開メディアに合わせてさらに構成を最適化するといった作業が必要になってきますが、その辺の話はまた機会を改めて公開できればと考えています。