まず情報の整理 − 操作手順の書きかた(1)

1997年5月24日

まず、どうしようもない多忙で更新が遅れたことをおわびいたします。
今回から2回にわたって、操作手順を分かりやすく構成する方法を考えます。
マニュアルでは、操作手順がメインディッシュです。この部分をうまく構成できないと、「マニュアル通りに操作したのにできない」という、クレームの嵐に立ち向かわなくてはならなくなります。

基本的な構成のしかた

操作手順は以下のパーツで構成されます。


構成パーツ=見出し+導入文+手順+分岐説明+ご注意/ヒント

以下、それぞれのパーツごとに、その内容とあるべき姿について考察してみましょう。

見出しと導入文

まず見出しですが、この研究発表でも何回か書いている通りです。ユーザーが「この項目では、〜の使いかたを説明しているのだな」とすぐに理解できる、簡潔明瞭な語句を使用しなければなりません。

次に来るのは導入文(イントロ文)です。
導入文とは、見出しが機能の役割を示す(例:CDを希望の順序で再生する)のに対して、具体的にどういうことができるかどういうときに使うと便利なのかということをユーザーに説明するためのものです。つまり、ユーザーに「この機能を使えば、具体的にこんなことができるのか。ちょっとやってみよう。」と働き掛ける役割を持つ文章なのです。
ところで、「すでに社会的に認知され、成熟していると考えられる機能に関しては、導入文はいらないのでは」という意見をお持ちのかたもいらっしゃると思います。このあたりはケースバイケースだと思います。原則を踏まえたうえで、個別判断していただくのが良いでしょう。

操作手順文

メインディッシュの操作手順文です。いろいろな考えかたがあり、難しい部分です。
今回は、操作目的を示すか示さないかを統一する1手順1操作結果文でユーザーにフィードバックを与える、という重要な原則を挙げておくにとどめ、詳細については次回に分析を加えたいと思います。

手順分岐説明

具体的には「上記の手順4で◇のかわりに■を押すと、〜になります」というような説明のことですが、分岐説明にもいろいろと難しい面があります。
どこで意見が割れるのかというと分岐を操作手順の中に入れるのか(ここで◇のかわりに■を押すと、〜になります、と手順に入れてしまう)、それとも外に出してしまうのか(上記の手順4で◇のかわりに■を押すと、〜になります、と操作手順の後に説明する)というところです。

中に入れると「どういう分岐があるのかユーザーにあらかじめ示すことができる」かわりに、「不必要な分岐のためにユーザーを混乱させてしまう」可能性もあります。そうかといって外に出すと「ユーザーを混乱させないですむ」かわりに、「後からそんなことをいうなんて . . .」と逆に混乱させてしまう可能性もあります。
一般的にはケースバイケースだと思いますが、1度操作してしまうと元の状態に復帰できないような操作に関しては、手順を中止するための説明を、手順の中に入れておく必要があるでしょう。

ご注意とヒント

操作手順の項目の最後にくるのが、ご注意やヒントの文章です。
ご注意としては、一般的な制限事項や、言い訳の文章(笑)が入ることが多いようです。ただし、PL(製造物責任)法など、ユーザーに直接の危害が加わったり、機器の故障につながるような文章は、導入文の直後に記載するのがマナーというものです。
ヒントとは、標準の操作をマスターしたユーザーに、進んだ使いかたや、ちょっとした使い方のコツなどを提供するためのものです。標準操作に必要なものをヒントに入れるようなことがないように注意しましょう。

いかがでしたか? 次回は「手順の原則−操作手順の書きかた(2)」として、今回さらりと流してしまった操作手順そのものについて、詳細に分析したいと思います。

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