実験室:Acrobat 4 を使ってみる
効果絶大! PDF Maker
先日発売されたAdobe Acrobat4ですが、いい感じです。Adobeが無償配布しているPDF Makerを利用することで、WindowsのOffice環境からの出力が格段にラクになりました。単にPDF出力ができるというだけでなく、以下のようなすばらしい機能が統合されています。
- 自動作成した目次を、PDFの「しおり」に自動変換
- Word書類中に付けたコメントをPDF上の「ノート」に自動変換
- 本文中に付けられた脚注にリンクを自動設定
- その他いろいろ
当研究所はMacintosh環境ではMicrosoft Officeを使用しないため、必要あるごとにWord書類をWindows環境で開く手間をかけていました。しかし、Acrobat4とPDF Makerさえあれば、あとから編集する必要のある書類以外はすぐにPDF化してしまえば済むことです。一度PDF化してしまえば、(Wordのコメント機能などのように)アプリケーションに依存する校正ツールを利用した赤字もPDF上で参照できますし、クロスプラットフォーム環境でも閲覧できるようになるため、便利なことこの上ありません。
Acrobat 4では、デスクトップ上のAcrobatアイコンにPDF化したいファイルをドラッグ&ドロップするだけで、そのファイルをPDF化できるというお手軽な機能もあります。そうではありますが、「Word文書をPDF化したいのであるならば、ぜひPDF Makerをお使いください」と言わせるだけの魅力がAcrobat 4 とPDF Makerの連携にはあるように思えます。
久しぶりに「バージョンアップして良かった」と思えるソフトです。
TrueTypeフォントを埋め込めて嬉しいはずが . . .
Windows版Acrobat4のウリの機能として、TrueType形式のフォントをPDFに埋め込めるというものがあります。やはりPDFを吐き出すためには同じ会社のPageMakerが最適だろうということで、発売されたばかりのAdobe PakeMaker 6.5Plusを購入し、検証を開始しました。
ところが、WindowsNT+AdobePS5.1環境では、フォントの埋め込みがうまく機能しません。文字が化けたり、文字のアウトラインだけが抽出された状態になったりするなどして、正常に機能しないのです。Windows98+AdobePS4環境では同一フォント(ヒラギノ明朝/ゴシック)の埋め込みが成功しているので、フォントやPageMakerに依存する問題ではなく、NT自体またはAdobePS絡みの問題のように思われます。
ちなみにAdobe PS5.1なしのWindowsNT環境でWord97からPDF Makerを利用してみたところ、何の問題もなく埋め込むことができました。どうもNT自体の問題というよりも、AdobePS絡みの問題のようです。原因を明確に把握しておかないと怖くて仕事には使えませんので、早急にAdobeのサポートに問い合わせをしてみようと思います。
ところで、PageMakerのPDF書き出し機能には重大な欠点があります。標準のPDF書き出しコマンドを利用すると、MS明朝およびMSゴシックしか埋め込めないのです。それ以外のフォントを埋め込むためには、いったんPSファイル形式で保存してからAcrobat Distillerを使用してPDF化しなければなりません。この方法ではPageMakerからPDFを生成するときに便利な、目次から「しおり」への自動変換機能などの統合機能を利用することができず、PageMakerを利用する意味が半減してしまいます。PDFとの親和性に目がくらんでPageMakerの導入を検討中のかたは、あらかじめご注意ください。
ただし、標準コマンドで埋め込めないという仕様はTrueTypeフォントだけの制限である可能性もありますので、この辺についてもAdobeに問い合わせてみようと考えています(PostScriptでビジネスをしているAdobeのことですから、こういった制限は十分考えられることです)。しかし当研究所ではWindows環境でPostScriptフォントを使用していない関係もあり、PostScriptフォントの埋め込みを検証する予定は今のところありません。あらかじめご了承ください。
WindowsNTからのフォント埋め込み
さてWindowsNTからのTrueTypeフォント埋め込みについてAdobeに確認してみたところ、「それは仕様です。WindowsNT環境ではPageMakerにTrueTypeフォントを埋め込むことはできません」というありがたいご返答をいただきました(苦笑)
正確にはPageMakerの問題と言うよりも、AdobePSとWindowsNT間の問題ということです。したがってPageMaker以外のソフトウェアを利用した場合でも、WindowsNT上でPostScript(PS)のファイルを書き出してからAcrobat DistillerでPDF書類を作成しようとするならば、同じ目に遭うことが予想されます(WindowsNTではフォントの扱いがWin95/98系とは異なるためということですが、Adobeに技術力がないだけという話も . . . )。
前述したとおり、PDF Makerを利用してWordからPDF書類を書き出す場合では、WindowsNT環境下でもTrueTypeフォントを埋め込めます。ということは、PDF Makerの場合はPSファイルを生成せずに、直接PDF書類を生成する内部処理を行っているものと予想されます。
逆に言うと、PS処理系を経由しないソフトウェアであれば、WindowsNT環境からでもTrueTypeフォントの埋め込みは可能であるように思われます(当研究所のメインプラットフォームはMacintoshであり、WindowsはWordとExcel、PageMakerなど必要に迫られた業務用途のみに使用しております。そのため、この辺の話はあくまで予想・想像ということでお願いしますね)。
少し脱線:WindowsNT上での日本語DTP
Acrobat 4それ自体とは少し話がそれますが、結局Windows DTPでもWin95/98系を推奨していることが多く(例:大日本スクリーン製AVANAS PageStudio)、「NTではちょっと . . . 」といわれている状態は、PDFの作成場面においても全く変わっていなかったわけです。Adobe Type ManagerがWin95/98用にはリリースされているのに、NT用にはリリースされていないということにすべてが現れている . . . ということのようですね。もともとWindowsNTは次期バージョン(元NT5→現Win2000)で文字コードとしてUnicodeを全面採用することもあり、「AdobeはNT用ATMをその時期に合わせてリリースするつもりだ」という噂がありました。今回の問題はどうもその辺の話とリンクしているようで、根本的な問題解決はWinNT(Win2000)用ATMがリリースされる時期まで待つ必要があるのかもしれません。
現実問題として印刷やPDF生成においてPostScriptが重要な位置を占めている以上、やはりWindows NTでは中途までしか作業フローに組み込めないということでしょうか。安定しているNT環境で途中まで作業を行い、出力やPDF化はWin95/98 環境で行うというのが一番無難なような気がします。
そうそう、一番大切なことをわすれていました。現状では「Windows NT上ではPageMakerを利用したフォント埋め込みはできない」という情報がAdobeのサイトには掲載されていません。これには問題がありますので、判明している仕様に関する問題は正確に掲載すべきである旨、サポート担当者に伝えておきました。しかし「上司に言っておきます」ということでしたので、多分掲載されずに当研究所のように「???」ということになるユーザーが増えるのでしょう(怒)。
クレーマー扱いされて暴言を受けなかっただけマシだったんじゃないかって? 確かにそういう考えかたもありますね(苦笑)。
Acrobat4の話題に関しては、これからも少しずつ積み重ねていきたいと思います。ネタとなるAcrobat4に関するトラブル情報や質問なども募集中ですので、いろいろとお悩みの方は、ぜひ当研究所までご一報ください(笑)。
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