読者の声(5)
制作会社からの売り込み
メーカーのマニュアル制作部門に在籍されている方からご意見を頂きました。どうもありがとうございます。
確かにメーカーのマニュアル制作部門の力が落ちているということもあるでしょうが、付き合いのある制作会社から積極的な新コンセプトの売り込みがないことも事実なんですよね。
これはなかなか難しい問題です。
ただ、こういった問題の背後にはいろいろな問題が隠されていることをメーカーのかたは忘れがちです。例えば、「その売り込みが採用されても既存の制作会社の強固な独占体制に割り込めるのか?」「アイディアだけパクられて終わりなんじゃないか?」「受注できてもこの会社はまともな制作費を出してくれないから、原価割れするんじゃないか?」などといった、様々な政治的(笑)判断が背後にあると思うのです(当然ですね)。
逆にメーカーと制作会社がお互いに信頼関係で結ばれているようなところでは、こういった問題は少ないような気がするのですが、いかがでしょうか?
それからメーカーのかたに理解していただきたいのは、電子マニュアル絡みの分野は制作会社にとっていま一番おいしい(お金になる)分野であるということです。しかしその一方で、ノウハウの蓄積にも人材育成にもそれなりのコストがかかる分野でもあります。
やはりそれなりの見返りがないと、という話になりそうですね。 (2000.09.12)
特殊な装置のマニュアル
当研究所では比較的エンドユーザーに近い製品やソフトウェアに関連した業務が多いのですが、「生産設備装置などの特殊な装置のマニュアルに求められるものは何でしょう?」というご質問をいただきました。
これはなかなか難しい問題です。
何故かというと、この種の製品に関しては、実際に製品を使う人(エンドユーザー)と、製品の導入決定や保守管理を行う人が異なることが意外に多いからです。この場合は、導入した職場用にカスタマイズした手作りのエンドユーザー用マニュアルを、各職場ごとに用意していることが多いようです。
しかしそうなると、良かれと思ってエンドユーザー向けに懇切丁寧に解説したマニュアルも「エンドユーザーの職場で求められるワークフローにマニュアルが準拠していない」「整備マニュアルとして使うには対象ユーザー層のレベルが低すぎる」ことになりますので、どのユーザーに対しても役に立たないものになってしまいます。
したがって、実際にその種の装置が使われている環境やワークフロー、職場の人員体制という面も含めて「誰がどのような目的でマニュアルを見ることが多いのか」(ま、基本ですね)を周到に調査しておくことが必要になるでしょう。その調査結果に基づいてまず個別対応をはかり、そのあとで制作プロセスを効率化するためにどうすれば良いかを考えることになるかと思います。
また、最終的に導入先でエンドユーザー向けにカスタマイズしたマニュアルが多用されることがわかっている場合には、(PL法関連で困難もありますが)思い切ってマニュアルとは別にカスタマイズ用のデータを別途提供してしまうという手もありそうです。 (2001.02.20)
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