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情報大工のひとりごと

原因はマニュアルだけなのか?

97.2.12の朝日新聞の朝刊4面の「ミニ時評」に、五十嵐 文生 氏(「ぱそ」編集長)による「パソコントラブル − 必要なマニュアル改善」というコラムが掲載されました。
起きたばかりの眠い頭で「何だこれは?」と目をこすりこすり読んでみれば、腹が立つやらあきれるやら。
氏の意図を曲解して要約してしまうと困るので、詳しくは現物をご覧頂きたいのですが、でも要約してみましょう(笑)。




五十嵐氏の意見____見出し罫線____

某外資系のパソコン(普通に読めばどのメーカーのどのパソコンかはすぐにわかってしまう書きかたでした)が不良品だったようで、さんざん苦労した。マニュアルは頼りにならないし。開けようとしたけれど特殊工具がないと開けられない。(ちなみにマニュアルには、調子が悪かったら開けてみろなんてことは絶対に書けません)。
「そもそもマニュアルが悪すぎる!」。「ぱそ」のアンケートでは回答者全員がトラブルで悩んだことがあるのだ!!。
マニュアルが役に立たなからこそ、「ぱそ」などのパソコン雑誌などに救いを求める。書籍の乱立はメーカーの怠慢に対するユーザーの悲鳴の現れだ。




ラプラス取説研究所はこう考える____見出し罫線____

上記のトラブルを振り返ったときに、マニュアル側の落ち度として咎められるべきは、「トラブルが発生したときに、ハードウェアの故障なのかソフトウェア絡みのトラブルなのか、ユーザー側が特定できる情報が掲載されていなかった」という点につきます。

氏もこの点については「まったくその通りだ」と同意していただけるでしょう。
さて、問題はここからです。ユーザーをマニュアルだけで救済するためには、メーカー側でハードウェアとソフトウェアの組み合わせをすべて考えて、すべてのトラブルの原因を明確に特定し、それを解決できる方法をマニュアルにすべて記載しなければならないのです。なぜならトラブルは常に個別の状況で起こるわけで、一般的な説明だけでは(特に氏が味方している初心者には)役に立たないであろうからです。
そんなマニュアルは、一体何千ページになるのでしょうね。広辞苑くらいでしょうか。トラブルシューティングなので電子マニュアルにするわけにもいかないし(本体が壊れてたら読めないですから)。新しいソフトが出てきたらどうするのでしょう?

例えば、マニュアルに「困ったときはSymantec社のNorton Utilitiesを使いましょう」なんて書けますか? マニュアルは製品に同梱されるものなので、出荷されてしまったらもうメーカー側では修正できなません。
ユーザーがマニュアルに載っているソフトとコンフリクトするツールを使っていたらどうしますか? バージョンが上がったらどうします? OSのバージョンによっては不具合が生じたらどうします? Web上で通知するとか、ユーザー登録しているのだからユーザーに直接通知すればいいとでも言うのですか?
メーカーはそんな無責任なことをするわけにはいかないのです!! 
こういうことまで考えた上で氏はマニュアルを責めているのでしょうか?
少し無責任じゃありませんか?




本当に責められるべきもの____見出し罫線____

現在のパソコンが初心者に優しいなんていうのは大嘘です。私は、結構パソコンを使い込んでいる方だと自分でも思っているのですが、対処しきれない原因不明のトラブルで泣いたことなんて数え出したらたらきりがありません。これはWindowsでもMocOSでも同じことです。
経験者でも手を焼く代物を「初心者でも簡単に使える」と宣伝をするメーカー、それに便乗して(1度トラブルが起きると大変なことになることを隠して)購買意欲をあおるマスコミ、このあたりの方々がもう少し考え方を改めていただければ良いのではないかと思います。
消費者も「ムードにあおられず、主体的な判断で、自己責任を伴ってものを買い、少しくらいのトラブルは自分で解決する」よう努力しなければなりません。

もちろん現在のわかりにくいパソコンのマニュアルは改善していかねばなりませんし、OSメーカーもより初心者に優しい、安定したOSを提供してもらわねばなりません。ハードウェアの品質管理は言わずもがなです。



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