またしてもIE問題(今度はバージョン4)
DECがCompaqに買収されたり、Apple社がソフト部門子会社のClaris社の一部営業部門を吸収したり、最近のパソコン業界の動きの激しさには驚かされます。
そういえばSunがMotorolaの組み込み用途チップにJAVAをライセンスしたという大きなニュースもあったのですが、日本のマスコミはおおかた無視したようです。
まあ、相変わらずというところでしょうか。
今回はMicrosoftのInternet Explorerのバージョン4、Windows98に関連して、ちょっと気になったことをお話ししたいと思います。
IE4、快調ですか?
鳴り物入りで登場したInternet Explorerバージョン4(以下IE4)ですが、インストールできない、インストールすると起動しない、重すぎてどうしようもないといった声があちこちで出ているようです。
ところが、IE4を収録したCD-ROMを添付した雑誌社は知らんぷりを決め込んでいるところが多いようです。日経BP社はフォローの特集を組んでいたようですが、最初からこうなることがわかっているのなら、最初から何とかして欲しいものです。
IE4の特集(売り上げ好調)→実はIE4のトラブル多い→IE4のトラブル特集(売り上げ好調)
なんて、雑誌社は良いでしょうが、ユーザーにはたまりません。
確かにIE4の不具合情報などはインターネット上などで探せば、いくらでも入手できるでしょう。雑誌のいうことを真に受けて、自分で検証する手間を惜しんだユーザーが悪いという論理も成り立つ余地があることも認めます。
しかし、初心者はそういった自衛策すらとれないことを忘れてはいないでしょうか?
初心者を欺くような導入をさせてパソコン嫌いに追い込み、その後で「パソコンが売れない」などと言っているのはどう考えてもおかしいです。
一度自分たちが痛い目を見なければわからないのでしょうか . . . 。
Windows98は使いやすくならない
開発者や興味のある人向けであると断って、マイクロソフトがWindows98の開発途上版(β版)を有償(送料はさらに別)で配付すると発表しました。
またIE4のときのようにいろいろな雑誌が煽るのかと思うと、正直開いた口がふさがりません。
ところで、当研究所では、Windows98は使いやすくならない、初心者の使いやすさに関してはWindows95と同等でしかないと考えています。
確かにPlug & Playの完成度があがることは初心者には良いでしょう。しかし「USBの互換性が本当にうたい文句ほどにとれるのか?」といった問題は数多く出てくる可能性があります。
特に現在市場にでているノートパソコンは、USBコネクターがあってもドライバの問題でUSBは動作しないのですが、このあたりがクリアになるんでしょうか。「USBコネクターがついているからこの機種にしたのに、Windows98になっても動かないなんて」ということになったら暴動ものです。
マイクロソフトだけでなく、ハードウェアメーカーとメディアの対応が今から興味深いです。
Windows98が使いやすくならないという本当の理由は、接続関係よりもむしろ拡張子といった管理システムや、エクスプローラなどを用いないと目的のファイルを検索することが非常に困難であることや、「プログラムとファイル」という関係を超える新たなシステムを用意できないことにあると思います。ファイルフォーマットがありすぎることも問題です。
まあこの辺の問題に関しては、MacOSにしても事態はあまり変わらないのですが。
慣れてしまったユーザーはあまり気にしないかもしれないのですが、拡張子などのシステム要求に、なぜユーザーが縛られなければならないのでしょうか?
ユーザーはパソコンで何らかのものを作りたいと思っているわけで、当然のことながら、パソコンを操作したいとか、あるソフトを操作したいと思っているわけではありません。
ものを創るためにいちいち起動するソフトや保存するファイルフォーマットを気にする必要がある今のシステムでは、ある程度の間口にしかユーザー層は広がらないでしょう。
つまり、Windows98を導入しても、いわゆるパソコン初心者にとって、ハードルの高さは全く変わらないのです。
そういう意味で、Windows98でもWindows95程度の使いやすさしか確保できない、と言っていることをご理解いただければと思います。
業界リーダーであるマイクロソフトには、このあたりのパラダイムを含めて変革してしまう、本当に使いやすいシステムを模索して欲しいと思います。
ところで巷間伝えられるようなWin98とWinNT5の統合化によっても、この辺の事情がちっとも改善されないであろうことは容易に想像できます。
やれWinCEだ、AutoPCだPalmPCだとWinファミリーを増殖させるより、基本的なシステムの見直しこそ本当は必要だと思うのですが。でもそうすると今までの独占体制が崩壊してしまうので、きっとこのまま行くのでしょう。
この状況はマイクロソフトにとって不幸であるばかりでなく、ユーザーにとっても不幸な状況であることは言うまでもありません。
そういう訳で、わかりにくいところもあるから、あとはマニュアル屋さんよろしくねという状況は変わらないようでございます。
喜ぶべきか、悲しむべきか...(笑)。
リリースまではまだ間があります。Windows98の完成度をできるかぎりあげるため、マイクロソフトの開発者には本当に頑張って欲しいところです。
それからスケジュール優先で出荷するなんてことのないようにお願いしたいですね。システムの安定を何より優先してください。
これはユーザーすべての願いだと思います。
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