ポインティングデバイスのお話
「便利」と「使いやすい」
使いやすいと評判のMicrosoft社製のIntelliMouseを購入したのですが、言われているほど使いやすくありませんでした(Windows98環境です)。手持ちのLogitech社(日本法人はLogicoolブランド)製のMouseMan(旧型)の方が使いやすいように感じます(所長の感想より)。
さてこのマウスの特徴であるホイール関係の機能ですが、確かに便利です。きっと雑誌などで使いやすいといっているのは、この機能を指しているのではないかと思います。
しかし、使いやすいことと便利であることは異なります。
結局ホイール付きマウスとは、既存のマウスにスクロールをコントロールするためのデバイスを1つ付け加えただけの代物にすぎません。穿った見方をするならば、現在のインターフェースシステムでは付加デバイスに頼らなければウィンドウをコントロールするのが困難であるということをOSベンダーであるMicrosoft自身が認めているということになります。
3Dインターフェースの夢を相変わらず捨てていないようですが、そんなことよりも実直な改善にもっと注意を払って欲しいものです。
それはともかくとして、マウス自体の使いやすさを評価するのであれば、次のように分けて考えるべきでしょう。
- ハードウェア的側面:持ちやすい形状かどうか、ボタンの位置/クリックの深さは適当か、など
- ソフトウェア的側面:マウスポインタはユーザーの意志を忠実に反映して動作するか、ダブルクリックのクリック間の微妙なピクセルずれを許容するか、など
こうして考えたところでは、まだまだIntelliMouseには熟成が足りないように思えます。便利かもしれないが、特に使いやすいというわけではない「もっとがんばりましょう」というのが当研究所の結論です。 (1999.04.12)
ボールなしマウス?
先日Microsoft社製のIntelliMouseにケチを付けた以上、つい先日発表された新IntelliMouseについてもコメントすることにしましょう。ボールの代わりに光学センサーで位置測定をするため、マウスパッドが不要というのが売りのようです。
マウスパッド不要ということよりも、定期的にマウスの掃除をしなくて済むことのほうがありがたいですね。机の保護のためにも、マウスパッド自体がなくなることはないでしょう。
さて、現在使用しているマウスが比較的ボールの存在を意識させるものであるために、ボールレスに伴う不安もあります。ボールがなくなったことで物理的なフィードバックが得られにくくなり、マウスの操作とマウスポインタの動きに一体感が得られない感じがするという問題は発生しないのでしょうか?
ノートパソコンの入力デバイスでは、トラックパッドよりもトラックボールやスティック上のデバイス(トラックポイントやアキュポイント)の方が好まれるようです。これはユーザーは入力デバイスとして操作時に物理的なフィードバックがあることを無意識に期待しているためなのではないかと当研究所では推測しています。全く手応えのないハンドル付きの車なんて、怖くて運転したくないですよね?
この問題がデスクトップマシンにも波及するわけで、Microsoft社がこの問題をどう解決しているのかに注目したいところです。
ところで同時に発表された、2つのユーザーが動作を指定できる追加ボタンを用意したIntelliMouse Explorerですが、Microsoft社はいったいマウスにいくつコントロールを追加すれば気が済むんでしょうか(2ボタン+ホイール+さらに2ボタン?)。よく冗談でそのうちキーボードにボールを埋め込んで、キーボードごと動かしてポイントするようになるといっていたのですが、あながち冗談で済まなくなってきているのかもしれません。
「ホームポジションに両手をおいたまま、円滑にポイントできるようになりました」なんて、冗談にしても寒すぎますよね。 (1999.04.21)
ボタンなしマウス?
MacWorld NewYorkで、AppleがPowerMacG4 Cubeなど様々な新製品を発表しましたが、当研究所として気になるのは、やはり同時発表されたボタンなしのマウスです。マウスの上面全体がボタンの役割を果たすことになるので、操作にかかる負荷という面で今までとどう変わってくるのか、興味深いところです。
新しいiMacと共に出荷されるはずですので、早いところでは今週末にも実機が展示される店舗が出てくるかもしれません。お時間のある方は、ぜひ触りに行っていただければと思います。
MicrosoftのIntelliMouseに対して「ボールレスではハードウェア的なレスポンスが欠落するので、ユーザーにとって意外と扱いにくいのでは?」という疑問を以前提示したこともありましたが、入力デバイスの善し悪しはやはり気になります(でも世の中ではスクロールコントロール付きボールレスマウスが一般的になってしまいましたね。あまり気にならないのですかねえ)。これを機に、また新しい発想の入力デバイスが出てくることを期待したいと思います。 (2000.07.21)
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