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情報大工のひとりごと

インターフェース設計あれこれ (2)



こんなことでは仕様書の意味がないですねえ____見出し罫線____

とある筋から聞いた話です。

ソフトのマニュアルを制作することになったのですが、納期まで2ヶ月しかないのにも関わらず、支給されたα版はまともに動きません。同様に仕様書も穴だらけで、マニュアルの構成立てすらまともにできそうにないものでした。
結局ソフトの完成が近くなるにつれて仕様書が厚くなっていったんですが、これじゃあ仕様書の意味がまるでないですよね。エンジニアは一体どうやってソフトを作ったんでしょう?

よく聞く話ですが、ご愁傷様でした。
聞くところによると、仕様書は最後には元の4倍(!)の厚さになったようです。このような状況では、良いマニュアルなど制作できるはずがありません。というよりもむしろ、仕様書が実際のコーディングの後を追うような作りかたをしているソフトなんざ、使いやすいものであるはずがありません。最近になって店頭で該当の商品を見る機会がありましたが、意図の不明な、一貫していないその場しのぎのインターフェースが多く見受けられました。さもありなん、というところでしょうか。

「完成品を触りながらでないと良いマニュアルはできない」などという甘えた気持ちはありませんが、ものには限度というものがあります。仕様書が明確であれば、現物を操作しなくても、インターフェース上の問題点をエンジニアに指摘することもできます。エンジニア側でも、想定していた仕様を仕様書にまとめてみることで初めて問題に気付く、ということもあるでしょう。
そもそも明確な仕様書なしに、どうコーディングするつもりなのでしょう? 家内制手工業ならともかく、複数のエンジニアが関わっている商品であるならば、メンバー間で明確な意志共有をするためにも、まともな仕様書を作って欲しいものです。
仕様書の作成は工数の無駄だと考える人も相変わらず多いようです。トータルで見ると決して無駄にはならないはずなのですが . . . 。 (1999.09.22)




正しい操作を自然に行ってもらうために____見出し罫線____

東海村での事故ですが、作業手順に重大な問題があったようですね。
正規作業手順に対して手抜き用の裏マニュアルが存在し、現場ではさらに手抜き作業が行われていたということで、唖然とさせられました。新聞報道でも指摘されていることですが、やはり正規手順以外の作業をも許容しうるような設備(ハードウェア)そのものが、(例え直接的な原因でないにしろ)事故の原因の一部を成していることは間違いないといえます。

こうした問題を見ると、やはりマニュアルや文書で規定(説明)することによって事故を防止することの限界を感じます。やはりハードウェア(というよりもシステム全体)として、あらかじめ以下の観点を重視した設計がなされていなければならないでしょう。

  1. 正しい手順以外は許容しない:
    誤った(手抜き)操作をハードウェア(システム)的に受け付けないという、抜け道を塞ぐための設計です。「正しい手順以外の操作ではエラーメッセージを表示するだけで、先には決して進めない」といった対策が例としてあげられます。設計思想的に見ると、少し後ろ向き(後付け対策的)かもしれません。
  2. 正しい手順をユーザーに自然に想起させる:
    抜け道を塞ぐだけでなく、ユーザーが正しい手順を自ら自然に行うための配慮がなされる必要があります。アフォーダンスなどを考慮したインターフェース設計などが例としてあげられます。システム側から正しい手順を促すという意味で、1よりは積極的な対策といえるでしょう。
  3. 正しい手順がユーザーにとって一番負担が少ない:
    1と2に加えて、正しい手順で作業することがユーザーにとって一番楽であるという環境を構築する必要があるでしょう。こうすることでユーザーは自発的に正しい手順で作業するようになるでしょうし、正しい手順に誘引するための各種の工夫も、より効果的なものになります。

これらの観点は、核・細菌(ウィルス)・化学物質の管理や取り扱いといったクリティカルな問題だけでなく、一般の製品やシステムの設計時にも留意すべきものです。企業内で新しい管理システムを導入してみたものの、従業員に総スカンを喰らっているといったことはありませんか? そのようなシステムは上記の観点のいずれか(またはすべて)が欠落していることが多いのではないかと考えますが、いかがでしょうか。 (1999.10.04)




次世代GUI現る? MacOS X____見出し罫線____

サンフランシスコで開催されているMacWorldで、MacOS Xのプレビューがあったようです。現在AppleのWebサイトでMacOS Xのイメージ画像その他の資料が公開されているのですが、強烈なインパクトがあります(新Finder)。
資料をざっと読んでみても、増大する一方のウィンドウの扱いや深い階層にあるファイルの操作といった、現状のGUI(特にその中核であるデスクトップメタファー)が抱える問題に挑戦する意欲がうかがわれます。

確かにファイル操作に特化した操作性を追求するのであるならば、Windowsのエクスプローラのようなアプリケーション(ファイルブラウザ)があれば十分でしょう。しかしそれでは、背景にあるデスクトップは単なる壁紙以上の何物でもありません。それならば、最初からファイルブラウザを画面全体に最大化した状態で操作しても、機能としては変わりないことになってしまいます。
デスクトップメタファーの本家本元であるAppleが、この辺の問題に対してどういったアプローチを取っていくのか、今後に注目してみたいと思います(Windows2000はキープコンセプトに終始しましたしね)。 (2000.01.06)

補足(2000.02.01)
MacOS Xの新インターフェースに関して、以前Apple社でインターフェースデザインを担当されていたTognazzini氏が的確な論評をしています(この記事は英語ですが、Mac系のニュースサイトを運営されているpierreさんのWebサイト当該記事の日本語訳があります)。
画面上のインターフェース設計について参考になることが多いと思いますので、興味のある方はぜひご覧ください。



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