派遣よりもアウトソーシング
「派遣」に頼る発想に問題はないか
派遣労働法の改正でいろいろと意見が出ているようですが、実は前から疑問に思っていることがあります。
確かに正社員を雇用するリスクを考えると、派遣労働者を選択した方が無難なのではないかという発想は理解できます。日本では労働者は企業を簡単に見捨てることができる一方で、その逆はそう簡単には行かないのが現実ですから、仕方がないのでしょう(語弊があるかもしれませんが、こうした面で日本企業は労働者の地位が強すぎるという気もします . . . )。
しかし、中途半端な派遣労働者に頼るくらいであれば、なぜ最初からプロの専門会社にアウトソーシングすることを検討しないのでしょうか?
どうも派遣労働者を利用する企業は、派遣労働者は自分たちの職場で働いてもらうから安全(何が?)といった変な安心感や甘えがあるように思えます。それに対して業務をアウトソースするのであれば、企業選定や発注管理体制だけでなく、自らの業務フローにも手を着けねばなりません。本来の意味でのリストラが必要となってくるわけです。
しかし自分達が痛い思いをせずに外部リソースを導入したいと考えたときには、派遣労働者ほどおあつらえむきの存在はありません。とりあえず来てもらえば何とかなるからラッキー♪というわけです。勿論こうした発想には法律の趣旨からして問題があるでしょうが、このような発想が蔓延していることも事実でしょう。
でもこんなことで良いのでしょうか? 本気で業務改善や効率化を考えるのであれば、最初から専門家の力を借りた方が良いのではないでしょうか?
特に職種ごとに要求されるスキルが多様化/高度化している現代では、もはや「すべてを自分たちの人材と環境で何とかしよう」とする発想自体に無理があるような気がします。 (1999.12.13)
外部ノウハウで自らの立場を相対化する
最近あちこちから気の滅入るような話を聞かされることが多いのですが、どうもメーカーのマニュアル制作部門のレベルが下がってきているように感じます。マニュアル制作という業務に必要なスキルを勘違いしているだけでなく、最近の制作技術の流れについていけてない、学ぶための努力をしない(または学ぶ方向がずれている)担当者が増えているようです。
こうした場合の対策として、外部ノウハウを活用することを検討してみてはいかがでしょう? 「我が社の技術はぁ、世界イチィィィッ!」などという変なプライドにとらわれて、結局ユーザーの信頼をなくして自社を窮地に立たせるよりも、はるかに合理的な選択です。
メーカー内部にいると、自分たちの仕事の進めかたやマニュアルに対する理解などが、客観的に見てどうなのか?を判断する機会がほとんどありません。自社製のマニュアルばかり見る機会が多い以上、仕方のないことでもあります。
しかし、進歩するためには自らの立場を相対化することが絶対に必要です。自社の常識にとらわれないスキルと視野を持った人材がいないようであれば、外部の目で自らの立場を相対化するしかありません。内部の人間だけで、継続的にブレイクスルーを繰り返すことができる組織は、そうそうないことを自覚する必要があるでしょう。
ところで外部ノウハウを活用するつもりであるならば、きちんと対価を支払うという姿勢が重要なのではないかと思います(当研究所にはこうした機会を頂けることが多く、お客様に感謝しております)。
発注者という権限を振りかざして、制作会社に無料でノウハウの提供を迫るような論外な会社もあるようですが、こうした方法で得られるノウハウは本質的なものではなく、あくまで上っ面のものでしかないことに注意を払うべきです(このことに気付かないから、そういうことをするのだとは思うのですが)。Webサイトなどで公開される一般的なノウハウとは異なり、自社に最適化された本当に重要なノウハウや評価は、決して無料では出てきません(断言)。
まあ逆にいえば、それだけのノウハウを得るためにどれだけの時間と技術、思考(つまりコスト)を積み重ねてきたのかを理解できないような会社には、もう先がないと言えるのかもしれませんね。 (2000.07.03)
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